UCC:ServiceNowで従業員ポータルを刷新、紙申請90%削減で入社手続き時間を1/3に

UCCグループがServiceNowでICT環境を刷新。レガシーポータルをクラウド・モバイルファーストに生まれ変わらせ、紙申請154万枚を90%削減。入社手続き時間は1/3に短縮し業務量も半減。

+90 %紙申請削減
数値の信頼性
公式出典あり
AIエージェント RAG

この事例のポイント

導入効果
+90%紙申請削減
業種
小売(EC)業
導入分野
人事

Before

UCCグループは「いつでも、どこでも、一人でも多くの人においしいコーヒーを届けたい」という創業精神のもと、世界21カ国・88拠点で事業を展開する日本を代表するコーヒー企業である。世界初の缶コーヒー販売や真空包装レギュラーコーヒーの製造を業界に先駆けて開始するなど、ビジネスにおいては常に最先端を走り続けてきた。

しかし、2019年頃のUCCグループのICT環境は、ビジネスの先進性とは対照的に、数年遅れの状態にあった。2019年に入社した黒澤俊夫氏(UCCジャパン株式会社 執行役員 ICT・デジタル担当 兼 情報セキュリティ担当)は、「社内のICT環境に関して数年は遅れていると実感した」と振り返る。

特に問題だったのはグループポータルの使いにくさだった。UIが複雑で、必要な情報にたどり着くまでに多くのステップを要した。従業員はポータルに不満を持ちながらも、使い方がわからず担当者に問い合わせるという悪循環が生じていた。

稟議や申請の承認プロセスも非効率極まりなかった。社外で承認する場合、パソコンを立ち上げてVPNに接続し、社内システムの承認フロー画面を開かなければ処理できない。さらにシステムごとに異なるユーザー名とパスワードを入力する必要があり、面倒な操作を強いられていた。

入社手続きの煩雑さも深刻な問題だった。入社前に多くの書類が渡され、すべての項目に手書きで記入し捺印する必要があり、その手間と煩わしさは従業員エクスペリエンスを大幅に損ねていた。紙の書類は担当部門のオペレーターがシステムに転記するなど、無駄な作業に貴重な人的リソースと時間が費やされていた。

紙による申請は年間154万9000枚にも上り、印紙税のコスト負担も無視できない規模になっていた。ペーパーレス化は喫緊の課題であったが、レガシーシステムの制約により実現できていなかった。

AI導入内容

2020年1月、黒澤氏はICT環境刷新プロジェクトを正式に始動した。目標は「インターネットセントリックで、クラウドファースト、モバイルファースト、そしてセキュアなICT環境の実現」だった。手始めにネットワークからVPNを排除し、インターネットとSaaSを使って、社外にいてもオフィスにいるのと同じように業務が行えるゼロトラスト・ネットワーク環境を整備した。

そしてクラウドファーストなICT環境を実現するソリューションとして、ServiceNowを導入した。

第1層:AI SearchとVirtual Agentによる従業員ポータルの刷新

2020年9月、UCCのグループポータルはServiceNowのAI Search機能を搭載して刷新された。

AI Searchによる意図に基づいた検索 単なるキーワード検索から、AIによる自然言語理解を伴うセマンティック検索(意味検索)へ移行。従業員の職種や所属、過去の行動データから検索結果をパーソナライズし、膨大なナレッジ(マニュアル、社内規定)の中から「今、その人が求めている情報」を最上位に提示する。これにより、情報検索時間が大幅に短縮された。

Virtual Agentによる24時間セルフサービス ポータル内には、自然言語理解(NLU)を搭載したAIエージェントVirtual Agentを配置。従業員がチャットで「休暇の申請方法を教えて」「給与明細が見たい」と入力すると、AIが意図を理解し、該当する申請フォームを提示したり、その場で情報を回答したりする。これにより、ICT部門や人事部門への電話・メール問い合わせが激減した。

第2層:インテリジェントなワークフローの電子化

ポータル刷新に続き、ServiceNowのデジタルワークフローにより社内申請を刷新した。

AIによる申請不備の自動検知 入力ミスが発生しやすい複雑な申請項目に対し、入力中にリアルタイムで整合性をチェック。過去のデータを学習したモデルが「不自然な入力値」を検知してアラートを出すことで、手戻りを防止した。

電子署名サービスとServiceNowを連携させることで、印紙税の削減を実現。紙申請の使用は年間154万9000枚から約90%も削減された。一方で、AI Searchを通じたナレッジ検索数は劇的に増加し、AI主導のセルフサービス文化が定着した。

稟議や申請の承認プロセスもスマートフォン対応にした。インターネットに常時接続されたスマートフォンで稟議や申請をチェックし、ボタン1つで承認が完了する仕組みに置き換えられた。

第3層:HR Service Deliveryによる従業員エクスペリエンス向上

2022年7月には、ServiceNowの人事関連ソリューションであるHR Service Delivery(HRSD)を使って、結婚、出産、引越し、転勤といったライフサイクルイベントの申請を行う従業員ポータルを新設した。

黒澤氏は「オペレーションセントリック(業務目線)ではなく、あくまでもユーザーセントリック(ユーザー目線)にこだわった従業員ポータルの実現」を目指した。処理をする部門の業務効率ばかりを優先しがちな傾向を避けるため、関係者を集めたワークショップを10回開催し、「どうすればユーザーにとって使いやすいポータルになるか」を議論した。

ワークショップにはServiceNowの担当者も参加し、他の顧客事例を紹介することで、より生産的な議論を促進した。このプロセスにより、UCCグループのデジタル改革に対する従業員の意識が大きく変化した。

第4層:入社手続きプロセスの抜本改善

ServiceNow導入以前の入社手続きの煩雑さを、黒澤氏自身も身を持って実感していた。「入社前に多くの書類を渡され、そこに記された項目すべてに手書きし、更に捺印もし、その手間と煩わしさは従業員エクスペリエンスを大幅に損ねている」と振り返る。

入社手続きに関する業務プロセスを全面的に見直し、ServiceNowのデジタルワークフロー上で完結するよう改善した。入社前にやり取りされていた大量の書類は、最初にQRコードを通知する「たった1枚」に削減された。書類の情報をシステムに転記していた無駄な作業も全面的に解消された。

After

ServiceNowの導入により、UCCグループは以下の定量的・定性的な成果を達成した。

紙申請の90%削減

年間154万9000枚あった紙申請の使用が約9割も削減された。これにより印紙税のコスト削減とともに、書類管理にかかる物理的スペースや管理工数も大幅に削減された。環境負荷の低減という観点からも、SDGsに資する大きな成果となった。

入社手続き時間の1/3短縮

入社手続きにかかる時間が以前の約3分の1に短縮された。新入社員にとっては煩雑な手続きがスマートフォンでの簡単な操作に置き換わり、初日から業務に集中できる環境が整った。

入社手続き業務量の半減

受け入れ側にとっても、入社手続きに関する業務量がほぼ半分に削減された。書類の転記などの事務作業から解放された担当者は、より価値の高い業務に時間を割けるようになった。

従業員エクスペリエンスの向上

見違えるほど生まれ変わったポータルのデザインが、従業員のユーザーエクスペリエンス改善への欲求を刺激した。この意識変化が、UCCグループのデジタル改革を加速させる原動力となった。

ナレッジ検索数の劇的な増加

ポータルを通じたナレッジ検索数が大幅に増加した。従業員が自ら必要な情報を探し、問題解決できる文化が根付いた。

現在もUCCグループはERPやCRM、AI/BI活用など、ビジネス課題を解決するためのデジタルソリューション導入を推進している。「これらは単なるICT導入やデジタル化ではない、業務改革を行い、ビジネストランスフォーメーションを推進するためのもの」と黒澤氏は語る。グローバルプラットフォームであるServiceNowを活用し、海外のグループ会社への展開も視野に入れている。

公式出典あり この事例の効果数値は、企業のプレスリリースまたは公式発表に基づいています。 出典を確認

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公開日: 2022年7月1日

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