カインズ:生成AIチャットボットと通話要約でコールセンター業務効率化を実証

AI Shiftと協働し、生成AIチャットボットと通話要約システムの実証実験を開始。FAQ自動生成と在庫検索の迅速化でオペレーター負担軽減を目指す。

+50 %通話時間短縮(目標)
数値の信頼性
公式出典あり
言語AI

この事例のポイント

導入効果
+50%通話時間短縮(目標)
業種
小売(EC)業

Before

株式会社カインズは、ホームセンター「カインズ」を全国に展開する大手小売企業である。DIY用品から日用品、食品まで幅広い品揃えを誇り、店舗数は100店舗を超える。多様な商品ラインナップと地域密着型の運営を強みとする一方、お客様からの問い合わせも多岐にわたり、コールセンターおよび各店舗で日々大量の電話対応が行われていた。

従来、コールセンターのオペレーターは、電話1件あたり平均して相当の時間を要していた。大きな課題は2つあった。第一に、お客様の問い合わせに回答するための情報を調べる時間が長く、通話時間が長引いていたこと。カインズの取り扱い商品は数万SKUに及び、各店舗の在庫状況や催事情報、特定商品の使用方法など、オペレーターが即座に回答できる範囲は限定的だった。マニュアルやFAQを人手で検索する間、お客様は電話の向こうで待たされ、ストレスが蓄積する状況が常態化していた。

第二に、電話終了後の事務作業が重荷となっていた。オペレーターは通話内容を顧客管理システムに手入力しなければならず、次の電話対応に移るまでに時間を要していた。この「アフターコール作業」は、1日の業務時間の中で無視できない割合を占めており、オペレーターの生産性低下だけでなく、お客様の待ち時間増大にも直結していた。結果として、コールセンター全体の対応能力が頭打ちになり、繁忙期には電話がつながりにくいという顧客満足度の低下も招いていた。

AI導入内容

この課題を解決するため、カインズは株式会社AI Shiftと協働し、生成AIを活用した2つのシステム——「AI Messenger Chatbot」「AI Messenger Summary」——を用いた業務効率化の実証実験を開始した。

AI Messenger Chatbot:情報検索の自動化

通話時間の短縮を目的に、オペレーターが自己解決できるチャットボットを構築した。このチャットボットはChatGPTと連携しており、カインズのFAQ内容や社内マニュアルを学習データとして取り込むことで、自動でFAQを生成し、あらゆる問い合わせへの回答を行う仕組みとなっている。

オペレーターは通話中にチャットボットにキーワードを入力するだけで、商品の仕様、店舗情報、キャンペーン内容などを瞬時に取得できる。従来のように複数のマニュアルやWebサイトを手作業で検索する必要がなくなり、通話中の沈黙時間を大幅に削減できる見込みだ。

さらに、問い合わせの中で特に多くの割合を占める「各店舗の商品在庫の確認」についても、将来的には在庫情報が格納された外部データベースと連携させる計画である。マニュアル情報と在庫情報を横断検索できるようになれば、オペレーターは複数のシステムを行き来する必要がなく、チャットボット単体でお客様の問い合わせに完結できる。AI Shiftの独自技術により、外部データベース連携機能も充実しており、正答率向上が期待される。

AI Messenger Summary:通話要約の自動化

電話終了後の事務作業負担を軽減するため、オペレーターとお客様の会話内容の要約を生成AIで自動化する。カインズからオペレーターとお客様の会話録音データを受け取り、AI Shift側で音声認識を実施する。

これまで電話対応を自動化する「AI Messenger Voicebot」を提供してきた知見を活かし、電話特有のノイズや方言、専門用語を高精度で認識する。音声認識結果はLLMエンジニアが調整したプロンプトで処理され、カインズのオペレーションに合わせた最適な形式で要約される。要約結果はCSVファイルで提供され、顧客管理システムへの取り込みが容易になっている。

この仕組みにより、オペレーターは通話後に長文を手打ちする必要がなくなり、次の電話対応にすぐに移れる。要約の質も、人手によるばらつきが排除され、標準化されたフォーマットで安定して提供される。

After

本取り組みは2023年11月に実証実験を開始した段階であり、今後の本格展開に向けた検証フェーズである。しかし、導入システムの設計段階から以下のような定量的・定性的な効果が期待されている。

通話時間短縮

チャットボットによる情報検索の迅速化により、オペレーターが回答を探す時間が大幅に削減される見込みだ。目標としては通話時間を大幅に短縮し、1人あたりの日次対応件数を増加させることが想定されている。お客様の待ち時間も減少し、電話つながりやすさの改善につながる。

アフターコール作業時間の削減

通話要約の自動化により、電話後の顧客管理システムへの入力時間が短縮される。オペレーターは次の電話にすぐに移行できるため、コールセンター全体の生産性が向上する。特に、長時間にわたる複雑な問い合わせの後でも、要約作成の負担が軽減される効果は大きい。

顧客体験の向上

情報探索時間の短縮は、お客様にとってもメリットが大きい。電話中の待ち時間が減り、スムーズに回答が得られる体験は、カインズのブランド信頼度向上に寄与する。また、要約データが正確に蓄積されることで、過去の問い合わせ履歴に基づいた一貫性のある対応が可能になり、リピート顧客の満足度も高まる。

オペレーターの働き方改革

単純作業から解放されたオペレーターは、より複雑な問い合わせや感情配慮を要する対応に注力できる。人手不足が続く小売業界において、AIによる業務効率化は人材の質的な活用につながり、離職率の低下にも貢献することが期待される。

カインズは、この実証実験を通じて生成AIの有効性を検証し、将来的にはコールセンターだけでなく各店舗の問い合わせ対応へも展開することを目指している。お客様の声を店舗運営に反映しつつ、スムーズな問い合わせ対応体制を構築する——その実現に向け、AIの活用は不可欠な手段となっている。

公式出典あり この事例の効果数値は、企業のプレスリリースまたは公式発表に基づいています。 出典を確認

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公開日: 2023年11月1日

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