イオン:全業態90社・約1000人に生成AI導入、月間130時間の業務削減を実現

イオンデジタルアカデミー主導で3カ月で全業態90社・約1000人に展開。ホールディングス人事部ではコード生成・翻訳で月70時間削減、人事部全体で月130時間の業務削減を達成。

+130 時間/月業務削減
数値の信頼性
公式出典あり
RAG

この事例のポイント

導入効果
+130時間/月業務削減
業種
小売(EC)業
導入分野
人事

Before

イオングループは日本国内外300社以上の企業で構成される大手流通企業であり、従業員数は約57万人、2022年度の営業収益は約9兆1,168億円に達する。2021〜2025年度の中期経営計画において「デジタルシフトの加速と進化」を成長戦略のひとつに掲げていた。

グループ内のDX人材育成を目的とした「イオンデジタルアカデミー」では、リスキリングによるDX人材育成とそれを支える企業文化の醸成に取り組んでいた。しかし、生成AIサービスを利用するための環境を迅速に導入したい一方で、デジタルリテラシー、特にAIに関する知識にばらつきがあった。実際に業務で活用していく必要があるが、グループ内にさまざまな業態があり、各企業、各ユーザーの利用用途が把握できていない面もあった。

経営的な目線では、生成AIを導入するには投資対効果のファクトが必要とされ、現場では使ってみないと効果はわからないというのが実情だった。机上で話していても議論が煮詰まらず、まずは実際の環境を導入して試用することが求められていた。

また、規則・規定類などさまざまな種類の膨大な量の社内ドキュメントを管理しており、調べたい項目に関係する文書を見つけるのに大きな工数をかけていた。社内外文書の効率的な整理・活用はグループ共通の課題となっていた。

AI導入内容

イオングループは2023年12月、Exa Enterprise AIが提供する、Azure OpenAI Service等の LLM(大規模言語モデル) をセキュアに利用できる企業向け生成AIプラットフォーム「exaBase 生成AI」を導入した。グループの全業態、約1,000名という大規模に、「AEON DIGIACAお試し生成AIサービス」として、約3カ月という短期で展開を完了した。

迅速な導入とグループ横断展開

ホールディングスで費用を負担し、グループにアカウントを一斉に展開した。ホールディングス(HLD)、総合スーパー(GMS)、スーパーマーケット(SM)、ディスカウントストア(DS)、サービス、専門店、金融、ディベロッパー(DV)、ヘルスケア&ウェルネス(H&W)、機能(IT)など全業態の90社・約1,000人が利用している。

部門別では、デジタル・ICT、システムの従業員の利用がそれぞれ200人超と多いが、管理部門も183人と同等に利用している。また営業・サービスが118人と多く活用しており、本部長以上の役員・経営層も61人と利用率が高い。

階層別研修による定着支援

導入前のAIリテラシー調査で、およそ6割が初級者、上級者は6%程度だったことを受け、Exa Enterprise AIとともに上級・中級・初級の3段階の研修メニューを作成し、2024年1月〜3月までで計7回開催した。定期的な開催を通じて利用促進とリテラシー強化の両面を図った。

研修では一般的な生成AIやexaBase生成AIの活用(プロンプトエンジニアリング等)に加えて、生成AIを実際に活用している現場の方に講師として出ていただくことで、受講者の興味や参加意欲につなげた。

データ連携機能(RAG)による文書管理の効率化

exaBase生成AIの データ連携機能(RAG: 検索拡張生成) を活用。規則・規定類などの膨大な社内ドキュメントをアップロード・ベクトルデータ化して管理することで、自然言語によるプロンプトから関連箇所を即座に特定・検索できるようになった。回答の根拠となる文書へのリンク表示に加え、検索結果の要約や複数文書を跨いだ情報の整理もLLMに依頼可能となった。

イオンデジタルアカデミー専用UIとコミュニティ構築

イオンデジタルアカデミー専用のUIを提供し、生成AIの利用ルールや、情報交換ができる「コミュニケーション掲示板」にアクセスできるようにした。研修で学んだ内容を意見交換するコミュニティの場として機能させ、いい事例だけでなく失敗談も共有している。

After

exaBase生成AIの導入により、イオングループは以下の定量的成果を達成した。

トップユーザー:月間70時間の業務削減

活用度のトップとなったホールディングスの人事部のユーザーは、VBAやPythonを用いたコード生成や海外レポートの翻訳で月間70時間の業務時間を削減した。コード生成に利用しない3番目のユーザーも案内文の英訳やSNSでの施策のアイデア出しなどで50時間近い削減効果を導出していた。

人事部全体:月間130時間の業務削減

人事部全体では、翻訳、文章レビュー、アイデア出しのほか、コード生成にも活用し、月間130時間もの業務削減につながったと試算できる。

利用の右肩あがり

多くの企業で導入当初活用が進むものの、次第に低下していく傾向がある中、イオンでは2月の時点で導入した12月の実績を約1割上回る結果となった。イオンデジタルアカデミーを軸とした綿密な導入・活用計画と、根付かせるための戦略実行が功を奏した。

隠れた課題の発見とグループ横展開の可能性

データ連携機能の活用は、特定の会社の業務工数を大幅に削減しただけでなく、社内外文書の効率的な整理・活用がグループ共通の課題であることが明らかになった。グループ内に同様のドキュメント運用を必要とする企業が多くあり、活用が進んでいる企業や部門、個人の取り組みを横展開することで、業務効率が大幅に改善する可能性がある。

業務への深い浸透

実際に利用者が入力しているプロンプトをベースに調べたところ、店舗のオペレーションや人事から、商品開発や市場調査、カスタマーサポートまで幅広く使われていることがわかった。VBAやPythonのコーディングなどにも使われており、単なる情報収集ツールではなく、業務における情報の生成に活用されている。

イオンは「お試し」との位置づけながらも、各現場の業務に根ざした極めて本格的な活用を実現し、グループ全体での本格活用への道筋を見出した。

公式出典あり この事例の効果数値は、企業のプレスリリースまたは公式発表に基づいています。 出典を確認

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公開日: 2024年6月17日

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