Before
ファミリーマートは全国に約7,000店舗を展開する大手コンビニエンスストアチェーンである。店舗運営の効率化とスタッフの働きやすさの向上は、フランチャイズビジネスの根幹をなす課題であった。
従来、店舗運営に関する業務マニュアルはレジ操作、サービス商材の受付、ストアスタッフの育成、各機器の操作、労務管理、緊急時の対応など多岐にわたっていた。店長や店舗責任者は、これらの情報を必要に応じてストアコントローラーで検索していたが、店舗責任者が不在時などの場合は、電話などを通じてスーパーバイザー(SV)や本部へ問い合わせを行わなければならなかった。
また、割引やクーポン企画などの販売実績を確認する際も、過去に同様の施策が実施されていた場合、SVが実施期間の販売実績を手動で抽出する必要があり、販売計画や売場づくりへの反映に時間がかかっていた。SVは個店指導に本来注力すべきところ、事務的な問い合わせ対応に多くの時間を割かれていた。
さらに、本社業務においても文書や報告書の添削、社員教育資料の作成、アンケートの集計作業など、定型業務に多くの工数がかかっていた。店舗スタッフと本部スタッフの双方に、情報検索や文書作成の負担が大きく、運営効率化が喫緊の課題となっていた。
AI導入内容
ファミリーマートは2023年1月から店長業務をサポートする人型AIアシスタント(名称:レイチェル/アキラ)を約7,000店舗に導入した。さらに2023年12月には法人向けChatGPTサービス「exaBase 生成AI powered by GPT-4」を本社業務に導入し、2024年7月からは人型AIアシスタントに生成AIを搭載して機能を強化した。
人型AIアシスタント「レイチェル/アキラ」
クーガー株式会社の自然言語技術、ゲームAI技術、膨大なデータを迅速に処理する検索技術などを活用した人型AIアシスタントである。店舗運営に必要な情報、売場作りのポイントなど、店長が必要とする最適な情報をスピーディに提供する。
2024年7月の生成AI搭載により、以下の機能が追加された:
- 業務マニュアルの音声検索機能:レジ操作、ストアスタッフ育成、機器操作、労務管理、緊急時対応などのマニュアルを音声で検索可能に
- 過去の販売実績参照機能:割引やクーポン企画など、過去に実施した類似施策ごとの販売実績を人型AIアシスタントで確認可能に
- コミュニケーション機能の改善:自然言語機能に類義語を追加し、精度を向上
これにより、店舗責任者が不在時でもスタッフが人型AIアシスタントに問い合わせることで、円滑な店舗運営が可能となった。
exaBase 生成AI(本社業務向け)
Exa Enterprise AIの支援のもと、2023年12月に本社業務向けに導入。文書や報告書の添削業務、社員教育資料の作成、アンケートの集計作業、SVから本部担当社員への問い合わせ対応などを対象とした。
導入にあたっては、AIコンサルタント、エンジニア、カスタマーサクセス、カスタマーサポートによる包括的な支援体制を組んだ。各利用者が入力したプロンプトとその回答をコンサルタントが確認し、より効果的なプロンプトを考案・提供することで効果の引き上げを図った。また、頻繁に活用するプロンプトをテンプレート化することも支援された。
データ連携機能を活用し、社内文書のアップロードと活用にも取り組んでいる。セキュリティやコンプライアンス面に配慮し、管理者側で利用状況の把握、禁止ワード登録などが可能な環境を構築した。
After
AIアシスタントと生成AIの導入により、ファミリーマートは以下の定量的成果を達成した。
本部業務:最大約50%の業務時間削減
2024年1〜2月に実施した検証では、本社業務における関連作業時間が最大で約50%削減される見込みであることが判明した。文書添削、教育資料作成、アンケート集計、問い合わせ対応などの業務が対象となっている。
SV業務の効率化
店舗からの問い合わせ対応が人型AIアシスタントに置き換わることで、SVは個店指導に注力できるようになった。過去の販売実績もAIアシスタントで即座に確認できるようになり、施策の計画立案スピードが向上した。
店舗運営の省力化
約7,000店舗で人型AIアシスタントが稼働し、レジ操作や緊急時対応などの問い合わせを24時間対応可能に。店舗責任者の不在時でもスタッフがスピーディに必要情報を取得できる環境が整った。
現場の定着状況
SVを含む約3,000人の社員がexaBase生成AIを活用し始めている。人型AIアシスタントは店舗の省力化とスピーディな情報提供を売場づくりに活かし、お客様からよりご利用いただける店舗づくりに貢献している。
ファミリーマートは、人型AIアシスタントの導入店舗をさらに拡大し、店長業務のサポートとともに店舗運営力の向上を促進していく方針である。
公開日: 2024年8月2日
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