Before
BeGlobalはオランダを拠点とし、企業向けブランドギフト(ノベルティ・記念品)を提供する会社である。大手組織が数百〜数千人の従業員に向けてパーソナライズされたプレゼントを贈る際、同社は10万点規模のカタログから適切な商品を選定し、カスタマイズして提案するサービスを展開していた。
しかし、商業提案の作成プロセスは完全に手作業に依存していた。営業担当者はまず、顧客の用途・予算・ブランドイメージをヒアリングした上で、約10万点の商品データベースから条件に合う商品を手動で検索する必要があった。色・素材・予算・テーマ(クリスマス・イースター等)といった多変量の条件を網羅的に考慮し、最適な商品を選定する作業は時間と経験を要した。
さらに商品選定後は、PowerPointで提案資料を手作りする工程が待っていた。商品画像の挿入、説明文の作成、テーマに合ったビジュアルの調整など、1件の提案書作成に数時間を要していた。この属人的な作業フローの結果、同社は年間約50件の提案しか作成・送信できないという深刻なボトルネックに直面していた。
「提案作成に時間がかかりすぎて、もっと需要があっても対応できなかった」と創業者は振り返る。既存顧客の過去の提案履歴やCRMデータも活用できておらず、毎回ゼロから作業をやり直す非効率さも課題であった。成長のためには、高品質な提案の質を維持しつつ、圧倒的なスピードとスケールを実現する自動化が不可欠だった。
AI導入内容
AI自動化・教育機関のPromptGorillasと提携し、n8nをバックエンドオーケストレーション層とした完全自動化のAI提案作成パイプラインを構築した。システム構成は以下の通りである。
第1層:対話型インプットエージェント
専用のフロントエンドに組み込まれたチャットエージェントが、必要な情報を対話形式で収集する。収集項目には以下が含まれる。
- 商品タイプ(カテゴリ)
- 単価予算
- 用途・テーマ(イースター・クリスマス等)
- 顧客名・業種
- 新規顧客か既存顧客か
エージェントは入力を要約し、ユーザーに確認してから次のステップへ進む。これにより、ヒアリングの属人性と入力ミスが排除される。
第2層:AIによるスマート商品選定
入力が確定すると、n8nワークフローが起動する。
- 顧客データの確認:既存顧客の場合はCRMデータと過去の提案履歴を自動参照
- データベース検索:Supabaseに格納された約10万点の商品データに対し、AI Agentノードが最適なクエリを生成
- GPT連携:GPTノードがデータベースへの問い合わせ方法を理解し、Codeノードと連携してユーザーの制約条件に基づく正確なSQLを構築
収集された商品データはWebhookでフロントエンドに返送され、選択候補として提示される。技術的なクエリ作成をAIが担うことで、非技術者でも複雑な条件の商品検索が可能になった。
第3層:自動ビジュアル生成
選定された商品画像を、テーマに合った魅力的なビジュアルに自動加工する。
- n8nがフロントエンドから商品画像を取得
- Nano Banana(画像生成AI)を経由し、用途に応じた背景・雰囲気の画像を自動生成
- 従来は手動で探し編集していた画像作業を完全自動化
例えば、クリスマス向けギフトにはクリスマスムードの背景を、エコ素材の商品には自然な雰囲気のビジュアルを自動付与する。
第4層:Google Slides自動生成
最終ステップで、顧客向けの完成度の高い提案書を自動作成する。
- Google Drive上のテンプレートを複製
- 選定された商品数に応じてスライドを自動追加
- 商品詳細・価格・AI生成画像を自動配置
「単一のGoogle Slidesテンプレートを起点に、選定された商品ごとに必要なスライドを複製し、各商品を正しい位置に自動配置する」と開発者は説明する。
このエンドツーエンドのワークフロー全体が、わずか52秒で実行される。技術スタックは以下の通り。
- フロントエンド:Cursorで構築
- バックエンドオーケストレーション:n8n(複数ワークフロー、Agentノード、GPTノード、Codeノード、Webhook)
- データベース:Supabase
- 画像生成:Nano Banana
- 提案書出力:Google Slides
After
AI自動化の導入により、BeGlobalは定量的かつ定性的な飛躍を達成した。
提案作成時間:数時間 → 数分(ワークフロー実行は52秒以内)
営業担当者の手作業時間は「数時間から数分」に短縮され、システム自体の処理は52秒で完了する。これにより営業チームは反復作業から解放され、新規開拓や関係構築といった付加価値の高い活動に注力できるようになった。
提案作成能力:年間50件 → 約500件(10倍のスケール)
創業者は見積もる。「今や以前の約10倍の提案を作成している」。ボトルネックが解消されたことで、これまで手が回らなかった需要にも対応可能になり、パイプラインと収益の拡大に直結している。
収益性の向上
長期的な収益指標はまだ収集中だが、以下の効果が確実に測定されている。
- 同じ工数でより多くの高品質な提案を生成可能に
- 提案のターンアラウンド時間が大幅短縮
- 「はるかに大きなパイプライン」に対応可能に
将来性のあるAI自動化アーキテクチャ
n8nのAgentフレームワーク、MCP、モジュラーワークフローにより、新しいAIツールを柔軟に追加できる。実際にプロジェクト途中でNano Bananaがリリースされ、商品画像生成の用途に即座に統合した。「より良いAIが登場しても、全面的な再構築なしに恩恵を受けられる」と開発者は述べる。
「彼らには大きなボトルネックがあった。1件の提案作成に時間がかかりすぎて、年間50件しか送れなかった。n8nにより、提案作成は2分未満になった」。この成果は、小規模チームでもAIオーケストレーションを活用すれば、大手に匹敵するスケールとスピードを実現できることを示している。
公開日: 2025年1月1日
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