Before
ビル・マンション・工場・社会インフラなど、あらゆる構造物の設備点検業務では、長年にわたる人手不足と熟練技術者の高齢化が深刻化していた。従来の点検作業は、紙の点検表を持って現場を巡回し、目視で異常を確認してから事務所に戻って報告書を作成するというアナログなフローが基本だった。
このような作業形態では、以下の課題が顕在化していた。
- 属人化したノウハウ:熟練者の経験に依存した判断が多く、組織としての知見蓄積が進まない
- 人手不足:高所や閉所での点検は肉体的負担が大きく、若手の定着が困難
- 報告書作成の手間:現場と事務所の往復や、紙の書類の電子化に多くの工数がかかる
- 遠隔地での支援困難:専門家が不在の現場では、判断に迷った際の即時支援が難しい
新型コロナ禍以降は、複数人での作業による密集・密接リスクも新たな課題として浮上した。
DX導入内容
日本ユニシス(現:Biprogy)は、IoTデバイス・タブレット・ウェアラブルデバイスを活用した設備点検支援サービス 「まるっと点検」 に新機能を追加し、本格的な提供を開始した。
サービス構成の3本柱
「まるっと点検」は以下の3つのサービスから構成される。
- モニター:設備の監視対象にセンサーを取り付け、リモートで稼働状況を監視
- リポーター:点検報告書の電子化によりペーパーレスを実現し、報告作業を効率化
- コミュニケーター:スマートグラスを装着した現場作業者と、遠隔支援を行う管理者との間で映像共有や作業指示を行う
スマートグラス版リポーターの追加
従来のタブレット版に加え、HappyLifeCreators株式会社製のスマートグラス連携ソフトウェア「TASKel」を採用したスマートグラス版リポーターを提供開始。音声認識によるハンズフリー操作で、点検結果の登録やスマートグラスに映った映像の撮影が可能となり、高所や閉所での作業、実作業と並行した登録が実現した。スマートグラスで登録したデータはタブレット版と連携し、現場で報告書作成から管理者への報告まで完結できる。
コミュニケーター機能の拡張
管理者PC1台あたりのスマートグラス同時接続数を2台から6台に拡張。これにより、より多くの作業員による同時点検が可能となり、管理者と複数現場点検者のスムーズな連携作業と管理負荷の軽減を実現した。
複数スマートグラス対応とAzureクラウド統合
屋内・屋外など現場の状況に応じて複数種類のスマートグラスを選択可能とし、適用範囲を広げた。さらに、すべてのサービスをMicrosoft Azure上に実装し、データの一元管理を実現。セキュリティ運用業務の軽減に加え、蓄積データを活用した分析や外部サービス連携も見据えた基盤を構築した。
After
「まるっと点検」新機能の追加により、設備点検業務のDX化が大きく加速した。
適用シーンの拡大
ビル・マンション・商用施設の設備保全だけでなく、製造工場の機械保全・製造管理、道路・鉄道・電力といった社会インフラの保全、さらには保険の災害判定や小売業の店舗業務支援まで、幅広い分野への展開が可能となった。
作業効率と品質の向上
ハンズフリーでの点検結果登録により、高所作業中でも安全にデータ入力が可能となり、作業効率と安全性を両立させた。遠隔支援機能の強化により、専門家が不在の現場でもリアルタイムで的確な指示が受けられ、点検品質の均一化が進んだ。
コスト削減と人材継承
報告書作成にかかるコストが削減されるとともに、熟練者のノウハウを遠隔支援の映像記録として残すことで、新人作業員への技術継承も加速する。with/postコロナ社会における作業の密集・密接回避にも貢献し、持続可能な設備管理モデルの確立に寄与している。
公開日: 2020年8月17日
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