Before
住友不動産は、新築分譲マンションを購入されたお客様から「管理費の負担が大きい」という声を多く受けていた。マンションの管理費の中で、共用部の空調設備にかかる電気代は大きなウェイトを占めており、季節や天候に応じた最適な運転が行われていない場合、無駄な電力消費が生じ、管理組合の経済的負担が大きくなっていた。
従来の共用部空調は、固定的な設定温度で運転されることが多く、外気温や湿度の変化に柔軟に対応できていなかった。また、ピーク時の電力使用量が基本料金の算定に直結する高圧契約では、需要のバラつきが電気コストの増大を招いていた。購入者のライフサイクルコストを抑えるため、入居前から先進的な省エネ施策を講じる必要があった。
AI導入内容
住友不動産は、空調設備に特化した省エネ・節電システムを開発・提供する株式会社ドッドウエル ビー・エム・エス(BMS)の 「Ai-Glies」 を、新築分譲マンションとして国内初めて導入することを決定した。導入対象は「シティタワー東京田町」(総戸数180戸)と「CITY TOWER THE RAINBOW」(総戸数264戸)の2物件である。
不快指数連動制御
本システムは、外気の不快指数(気温と湿度から人間が体感する不快さを数値化した指標)の変化を監視し、室温が変化する前に8段階の制御レベルの中から最適な条件を自動判定するアルゴリズムを搭載する。パルスセンサーと温湿度センサーが外気データを収集し、集中制御装置が無線制御ボックスを介して空調機の室外機を直接制御することで、エアコンの節電レベルに応じた細かな運転調整を実現する。
具体的には、約3分間の送風を30分間で1回~3回程度交えることで、小さな室温変化を抑えながら電気使用量料金を削減する。
ピークカット機能
高圧契約では、1年間で最も電力を使用した30分間の需要電力量(最大デマンド値)で基本料金が決定される。Ai-Gliesは、予め設定した「設定デマンド値」を超えないように電力消費をピークカットし、使用電力量を平滑化することで基本料金の削減も図る。
無線接続による柔軟な導入
機器同士をLPWA(Low Power Wide Area)の一種であるLoRa無線で接続することにより、配線工事を不要とし、工事費用の削減や工事期間の短縮を実現している。これにより新築物件だけでなく、既存物件への後付け導入も手軽に行える設計となっている。
クラウドベースの可視化
使用電力量、制御状況、CO₂削減量、削減電力量などは専用クラウドサーバーで管理され、ブラウザソフトでリアルタイムに監視可能。導入効果を関係者で共有しやすく、管理組合の省エネ意識向上にもつながる。
After
Ai-Gliesの導入により、住友不動産の新築マンションでは以下の効果が見込まれる。
空調電力量を約15%~20%削減
不快指数連動制御とピークカット機能の相乗効果で、共用部の空調にかかる電力量を大幅に削減。これは管理組合が負担する管理費の軽減に直結する。
初期投資の回収スピード
比較的規模の大きい物件(約250戸程度)で本システムを導入すれば、3年前後で初期費用の回収が可能となる試算が出ている。長期的な資産価値と居住者の経済的負担軽減の両立を実現する。
入居前からの省エネ実現
入居開始前に本システムを導入するのは国内初の取り組みであり、購入者にとっては入居当初から省エネメリットを享受できる。これは同社のサステナビリティ経営と顧客体験向上において、差別化要因となっている。
今後も住友不動産は、Ai-Gliesをはじめとした多様な省エネ活動を推進し、購入者様の経済的に快適な暮らしに貢献していく方針である。
公開日: 2026年1月28日
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