三井不動産:自社特化型AIチャット「&Chat」で全社2,500人の業務効率化を推進

Azure OpenAI Service GPT-4を活用した社内専用AIチャットツール。全従業員約2,500人を対象に運用開始。文章要約・翻訳・アイデア出し等の日常業務を効率化し、17種の汎用プロンプト集を実装。

+2500 人 導入対象社員数
数値の信頼性
公式出典あり
RAG

この事例のポイント

導入効果
+2500人 導入対象社員数
業種
不動産業
導入分野
人事

Before

三井不動産はグループ長期経営方針「VISION 2025」の中で「テクノロジーを活用し、不動産業そのものをイノベーション」を掲げ、不動産を「モノ」としてではなく、リアルとデジタルを掛け合わせて「サービス」として提供する”Real Estate as a Service”の実現を目指している。

しかし、社内における生成AIの活用には以下の課題があった。

セキュリティ懸念 パブリックな生成AIサービスを業務で使用する場合、機密情報や個人情報の入力に慎重さが必要であり、自由な活用が困難だった。

活用ノウハウの不足 生成AIはプロンプト(AIへの指示文)の書き方によって回答の質が大きく変わるが、社員全体としての活用ノウハウが蓄積されていなかった。

社内ナレッジのアクセス効率 過去のプロジェクト資料、マニュアル、各種規程等の社内情報にアクセスする際、検索・閲覧に時間を要していた。

DX人材の育成 全社員を対象としたDX推進には、テクノロジーに親しみのない社員も含めて、幅広い層への働きかけが必要だった。

AI導入内容

2023年8月、三井不動産はアルサーガパートナーズ株式会社と共同で、自社特化型AIチャットツール「&Chat(アンドチャット)」を開発し、全従業員約2,500人を対象に運用を開始した。

システム構成

基盤技術

  • Azure OpenAI Service:Microsoft Azure上で提供されるGPT-4モデルを採用
  • セキュアな社内環境:入力情報を社外の組織に送信することなく利用可能。セキュリティが担保された社内専用環境のみにデータが保管される
  • 最新インターネット情報参照:社内環境の安全性を保ちながら、最新のインターネット情報も参照可能

プロンプト集の整備 精度の高い回答を得やすくするため、以下のような汎用性が高い17種のプロンプト集を開発・実装した。

プロンプト例用途
文章の要約長文資料の迅速な把握
ビジネス英語に翻訳英文ビジネス文書の作成支援
何でもわかりやすく説明専門用語の平易な説明生成
報告書の作成定型フォーマットへの内容整理

社内データ連携(RAGの実装)

「&Chat」の真価を発揮させるため、LLMが社内固有の知識を検索・参照できる**RAG(Retrieval-Augmented Generation)**の仕組みを順次導入している。

第1弾:ITマニュアルの連携と検索プロセス

  1. データのベクトル化:数千ページのITマニュアルやFAQを、Azure OpenAIのEmbedding APIを用いてベクトルデータに変換。
  2. ベクトルデータベースへの格納:意味情報を保持したままデータベースに蓄積。
  3. セマンティック検索:社員が「VPNがつながらない」と入力すると、AIが言葉の意味からマニュアルの該当箇所を即座に特定。
  4. 根拠に基づいた回答生成:抽出されたマニュアルの記述を基に、GPT-4が回答を生成。回答には参照元のリンクも提示される。

セキュリティとデータプライバシー Azure OpenAI Serviceのエンタープライズ環境を活用することで、以下の安全性を確保している。

  • データ分離:入力されたプロンプトや社内データは、学習用データとして再利用されない
  • ネットワーク隔離:VNet(仮想ネットワーク)経由での接続により、社外からのアクセスを遮断

After

「&Chat」の導入により、三井不動産の社員は以下の業務効率化を実現している。

日常業務の効率化

  • 文章の要約:長文の議事録や報告書を短時間で把握可能に
  • 翻訳:ビジネス英語への翻訳を即座に生成
  • アイデア出し:ブレインストーミングのきっかけとしてAIと対話
  • 報告書作成:ゼロから書き始める負担を軽減

活用事例(リリースより)

質問例AI回答の活用
「不動産市場の最新動向を教えて」最新のインターネット情報を参照した市場分析
「ITマニュアルのVPN接続手順を教えて」社内マニュアルからの情報抽出・回答

定性的効果

  • 業務生産性の向上:定型業務にかかる時間が短縮され、創造的な業務への時間配分が可能に
  • 社内ナレッジの民主化:特定の部署やベテラン社員に蓄積されていた暗黙知が、AIを介して全社員にアクセス可能に
  • DX文化の醸成:アイデアソン等の施策を通じて、社員全体のDX意識が向上
  • お客様体験価値の向上を目指した展開:社内活用を経て、お客様からの問い合わせ対応への活用も検討中

今後の展望 三井不動産は「&Chat」と社内データとの連携をさらに進め、一層の業務効率化を図るとともに、生成AI活用によるお客様の体験価値向上を目指していく方針である。

公式出典あり この事例の効果数値は、企業のプレスリリースまたは公式発表に基づいています。 出典を確認

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公開日: 2023年10月10日

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