オープンハウス:AI・RPAによる業務自動化で年間21,920時間の工数削減

画像分類AI、物体検出AI、RPAを組み合わせた業務自動化。物件資料自動作成・帯替えで年間20,000時間、資料自動取得RPAで年間1,920時間の削減。宅地区割り設計の自動化も世界初の技術として特許出願中。

+21920 時間/年 工数削減
数値の信頼性
公式出典あり
画像AI

この事例のポイント

導入効果
+21920時間/年 工数削減
業種
不動産業
導入分野
生産・製造

Before

株式会社オープンハウスは都心部を中心に不動産開発・仲介事業を展開する企業である。同社の業務には多くの事務作業・単純作業が含まれており、以下のような課題があった。

仲介業務における資料作成の煩雑さ 顧客に提示する物件資料について、営業担当者が社内の膨大な資料を人手で検索・編集・結合して作成していた。この作業は煩雑かつ単調であり、営業担当の工数を大きく圧迫していた。

媒介物件資料の帯替え作業 物件資料の帯(ヘッダー部分)を差し替える作業は、大量の資料に対して手作業で行っており、工数と人的エラーのリスクがあった。

外出先での資料取得の困難さ 仲介業務や開発業務で物件現地を案内・視察する際、地図や謄本情報等の物件関連資料が必要になる機会が多い。しかしこれらの資料は社内ネットワーク内のシステムからのみアクセス可能で、外出先からは取得が困難だった。オフィスにいる社員に電話して取得してもらうしかなく、多忙な業務の中で障壁が高く、詳細な案内・調査を諦めるケースもあった。

設計業務における宅地区割りの属人性 宅地の仕入検討時におけるプラン図作成(宅地区割り)は、設計担当者の経験と勘に大きく依存しており、最適な区割りプランの検討に多くの時間を要していた。

AI導入内容

オープンハウスは2019年よりAI・RPAによる業務自動化に本格的に取り組み、以下の3つの領域でシステムを開発・導入した。

1. 物件資料自動作成・全自動帯替え(AI画像認識)

技術アプローチ ディープラーニングによる機械学習技術を活用し、物件資料の自動編集・加工システムを構築した。

画像分類モデル(ResNet転移学習) 汎用画像分類モデルResNetに対して転移学習を行い、不動産資料に特化した分類モデルを開発。社内ファイルサーバに保存された各種営業資料を自動的に分類し、必要な資料の抜粋・編集を自動化した。

物体検出モデル(Faster R-CNN転移学習) 媒介物件資料の帯部分を検知するモデルを、物体検出モデルFaster R-CNNの転移学習により開発。物件資料に適用することで帯の差し替え作業を完全に自動化した。

効果 この2つの機械学習技術を活用した資料編集・加工の自動化により、年間20,000時間の工数削減を実現。

2. 物件資料自動取得RPA

システム概要 外出先からスマートフォンで最低限の必要事項を記入したメールをロボット宛てに送るだけで、社内外の複数システムから物件関連資料を自動取得・送信するRPAシステムを開発した。

自動化フロー

  1. 外出中の営業担当がスマートフォンからメール送信
  2. RPAがメール内容を解析し、必要な資料を特定
  3. 社内システムにアクセスし、地図・謄本等の資料を取得
  4. 取得した資料を営業担当に自動送信

効果 資料取得にかかる時間が大幅に短縮され、年間1,920時間の工数削減を実現。心理的な取得ハードルの低減により、物件紹介・開発における機会損失回避にも貢献している。

3. 宅地の自動区割りシステム(設計業務)

技術概要 AIソリューション「進化計算DARWIN(ダーウィン)」を活用。宅地区割りという複雑な 幾何学的制約充足問題 を、 遺伝的アルゴリズム(GA) を用いて解決する。

アルゴリズムの動作

  1. 制約条件の定義:敷地形状、道路接道、建蔽率・容積率、最低敷地面積、日影規制等の法規制をパラメータ化。
  2. プランの多世代進化:数千通りの区割りパターンを仮想的に生成し、「総販売面積の最大化」や「整形な宅地形状」などの 適合度関数(Fitness Function) に基づき、プランを交叉・突然変異させながら最適解へ収束させる。
  3. 高速出力:熟練の設計担当者が数時間かけていた検討を数分で完了。CAD形式(DXF等)で即座に出力可能。

効果 作業工数を8割程度削減することが可能になった。現在は実証研究として現場でのトライアルを開始しており、実現すれば世界初の試みとなる。本技術については特許出願中である。

After

AI・RPAによる業務自動化の導入により、オープンハウスは以下の定量的成果を達成した。

工数削減の総括

導入システム年間削減工数
物件資料自動作成・帯替えAI20,000時間
物件資料自動取得RPA1,920時間
合計21,920時間

定性的効果

  • 営業担当の付加価値業務への集中:単純作業から解放され、顧客対応や物件開発等の付加価値の高い業務に時間を割けるように
  • 機会損失の削減:外出先でも必要な資料が即座に取得できるようになり、詳細な物件調査が行えるケースが増加
  • 設計品質の向上:AIが最適解を提示することで、経験の浅い設計担当者でも高品質な区割りプランを検討可能に
  • BCP強化:RPAによる自動化により、災害等の緊急時でも業務継続性が向上

組織・人材面の取り組み オープンハウスは高度なAI人材の採用についても積極的に取り組んでおり、海外での新卒採用を実施。AI・RPA開発チームは内製で既存技術の活用開発を行うとともに、事例のない先駆的な応用研究も実施している。GPUマシンなどHPC環境にはクラウドを活用し、低コストでの導入を実現している。

同社は今後も最先端ITによる不動産業務の自動化を通じて、働き方改革の推進と不動産業界のイノベーション事例創出に取り組み続ける方針である。

公式出典あり この事例の効果数値は、企業のプレスリリースまたは公式発表に基づいています。 出典を確認

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公開日: 2019年11月5日

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