Before
車載通信機器や半導体検査用コネクタなど、多彩な製品ラインナップを誇るヨコオは、1922年創業の独立系電子部品メーカーである。海外生産比率80%以上、海外販売比率は70%以上と、売上高こそ中堅規模ながら知る人ぞ知るグローバル企業である。
世界の主要自動車メーカーや半導体メーカーなどと取引するヨコオは、各国の法規制や業界技術、納入先の高い要求などに応えながら製品づくりを行っていく必要がある。特に情報漏洩を防ぐためのITセキュリティ管理については、厳格な規制や要求をクリアしなければならない。
「中堅企業の限られたリソースで、それらの要求にいかに応えていくかというのは、非常に大きな課題でした」と、同社執行役員経営企画本部長の角田達朗氏は語る。
ヨコオがITセキュリティ管理の強化に取り組み始めたのは、2010年代の初めである。ある取引先からの監査をきっかけに、ISO27001認証を国内外11拠点で取得した。しかし、実効力のある対策ができるかどうかは別の話だった。
「拠点がグローバルに広がっているので、それぞれの拠点がどのようなハードウェアやソフトウェアを導入しているのかを十分に把握し切れていないことが課題でした」と角田氏は明かす。中でも脆弱性のために構成情報が取れていないことが大きな課題で、使用しているハードやソフトの詳細が分からなければ、そこに潜んでいる脆弱性も明らかにしようがなかった。
既存のSaaS型ITサービスマネジメントツールでは、各拠点のIT担当者が拠点ごとのIT資産状況を常に把握し、追加や変更等があれば速やかに本社の情報システム部門に報告しなければならなかった。頻繁にスプレッドシートの内容を変更し、メールで本社に送るという作業の繰り返しは、担当者に大きな負荷をかけていた。
AI導入内容
2022年下期、ヨコオは構成管理とセキュリティの脆弱性対応を高度化するため、新たな仕組み構築プロジェクトを始動した。当初は既存ツールを選定したが、「人手に頼らずに効率化する手段は何か」と考え直し、ServiceNowの導入を決定した。
Vulnerability Responseによる脆弱性管理の自動化
ヨコオはServiceNowのSecurity Operations(SecOps)、特にVulnerability Responseを導入し、セキュリティの脆弱性対応を劇的に効率化した。
機械学習による脆弱性の優先順位付け ServiceNowのPredictive Intelligenceを活用し、検知された何千もの脆弱性に対して、ビジネスへの影響度と脅威の深刻度に基づいた自動的な優先順位付け(リスクスコアリング)を実施する。単に「危険な脆弱性」をすべてリストアップするのではなく、ヨコオの資産情報と照らし合わせ、「どのサーバーのどの脆弱性を最優先で修正すべきか」をAIが判定する。
ITOM Discoveryによる資産情報の自動収集 IT Operations Management(ITOM)Discoveryにより、世界11拠点のIT資産情報をエージェントレスで自動収集。従来、スプレッドシートで手動管理していたハードウェア・ソフトウェアの構成情報がリアルタイムにCMDB(構成管理データベース)に蓄積されるようになった。これにより、新たな脆弱性が公表された際、影響を受ける端末をわずか10分程度で特定できるようになった。
統合サービスデスクとワークフローの構築
サービスデスク統合のため、 IT Service Management(ITSM) を導入し、社内チャットとの連携作業を進めている。仮想エージェント(Virtual Agent)を介して、従業員がチャット上でITトラブルの自己解決や申請を行える環境を整備中である。これにより、依頼者と担当者双方の負担が大幅に軽減されることが期待されている。
After
ServiceNowの導入により、ヨコオは劇的な業務効率化を実現した。
脆弱性特定時間の大幅短縮
「かつては脆弱性を持つハードウェアやソフトウェアを調べ上げるのに相当な時間がかかっていましたが、今では10分程度で特定し担当部署へ対応指示を行うことができるようになりました」と中山氏は導入効果を語る。
省力化・省人化の実現
「ビジネスの売上が伸びている中で、売上が伸びたからといって同じように人を採用することは、この人材不足の時代では非常に困難です。『人』の介在を減らせるServiceNowを活用すれば、持続的な成長が可能になると判断して導入しました」と角田氏は述べる。
第3の基幹システムとしての確立
中山氏は将来展望について語る。「将来的には、社内のあらゆる業務の入り口をServiceNowにして、社員の仕事がすべて1つの画面で完結できるような環境を整えたいと思っています。社員がERPやPLMと並ぶ『第3の基幹システム』としてServiceNowを活用し、業務の効率化や生産性向上につながるようにしたい」。
ROIC経営への貢献
「ROIC経営を実践するためにもServiceNowを積極活用していきたいと考えています。今後も、ServiceNowの多彩なソリューションを戦略的に使い分けながら成長を追求してゆきます」と角田氏は抱負を語った。
ヨコオは今後もServiceNowの活用範囲を広げ、グローバルな展開も進めていく計画である。中堅製造業におけるデジタルトランスフォーメーションのモデルケースとして注目されている。
公開日: 2024年1月1日
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