Before
世界120カ国・地域で化粧品を提供し、海外売上比率が6割以上に上る資生堂では、世界各地の拠点や様々な部門が数多くの業務用システムやアプリケーションを使用している。その不具合に関する問い合わせやリカバリー対応といったITサービスの依頼も多く、いかに効率よく処理をして従業員の生産性を損なわないようにするかが重要なテーマとなっていた。
導入前の資生堂グループのITサービスは、システムごとやアプリケーションごとだけでなく、国や地域によっても窓口やプロセスが異なっていた。問い合わせ先がバラバラで、従業員は必要なサポートを受けるまでに多くの手間を要していた。
一方、国内における人事サービスにも課題を抱えていた。資生堂の国内拠点は、従業員による各種手当や育児・介護休暇などの申請を紙の書類で受け付けていた。申請書の種類は900以上に上り、従業員は申請のたびにどの用紙に記入すればいいのか迷うことが多かった。しかも、その都度手書きする申請書もあり、申請すべきことが多くなると負担が大きく本業に割く時間が奪われてしまうことも難点だった。
申請を受理する側にとっても、一度に大量の書類が寄せられると処理業務がパンクし、承認までの時間が長くなるという問題があった。
AI導入内容
資生堂はこれらの課題解決のため、ServiceNowのIT Service Management(ITSM)とHR Service Delivery(HRSD)を導入した。
グローバル標準ITサービスとAIエージェントの構築
全世界で統一されたITサービスを実現するため、資生堂はServiceNowの IT Service Management(ITSM) を導入。AI機能を活用した効率化を推進した。
Predictive Intelligenceによる自動分類とルーティング ServiceNowの機械学習エンジンであるPredictive Intelligenceを活用。バラバラだったグローバル拠点のIT問い合わせ内容をAIが学習し、最適なカテゴリーや担当チームへ自動的に分類・アサインする仕組みを構築した。これにより、アプリケーションに関する問い合わせの約60%が集約・自動化され、リカバリー対応にあたるエンジニアの負担を大幅に軽減した。
HRSDによる人事サービスのデジタル化とAI Search
国内における人事サービス刷新では、 HR Service Delivery(HRSD) を導入。AIを活用した従業員体験の向上を実現した。
AI Searchによる自己解決の促進 従業員ポータルには、自然言語理解を伴うAI Search機能を搭載。900種類以上あった複雑な申請書類をデジタル化するとともに、従業員が「住所変更の手続きは?」「育児休暇の規定は?」といった日常的な言葉で検索すると、AIが意図を理解し、該当する申請フォームやナレッジ記事を即座に提示する。これにより、人事担当者1人あたり月間40時間の作業削減を実現した。
Virtual Agentによる申請サポート 将来的には、チャット形式で人事申請が完結するVirtual Agentの活用も計画されており、従業員がマニュアルなしで迷わず手続きを済ませられる「自律的な働き方」をAIが支えている。
After
ServiceNowの導入により、資生堂の従業員体験と業務効率は大きく改善された。
60%のITサービスを集約
2019年に日本のITサービスで「ゴールデンコピー」を適用した結果、「バラバラだったアプリケーションのITサービスのうち、約60%がITSMに集約され、ITインフラについては100%集約されました。問い合わせ窓口やプロセスが統一されたことで、従業員の業務負荷は明らかに減り、リカバリー対応するエンジニアの負担も軽減されています」とミシュラ氏は評価している。
人事担当者1人あたり月間40時間の作業削減
人事部の業務において、「各部門・事業所の承認が必要な申請については、申請書類をいったん人事部が中間チェックしていたのですが、デジタル化によってこのプロセスが省略され、担当者1人当たり月間40時間分の作業が削減されました」と田村氏は語る。
従業員体験の向上
本稼働と前後してコロナ禍が発生したが、社員の方々からは「わざわざ紙を取り寄せて記入する必要がなくなった」「申請に印鑑をもらうために、わざわざオフィスに行かなくて済むのが助かる」といった感想が寄せられた。誰でも簡単に使えるインターフェースにより、マニュアルがなくても従業員はスムーズにシステムを利用できるようになった。
製品開発リードタイムの加速
ITサービスの効率化と人事業務のデジタル化により、製品開発から市場投入までのリードタイムを加速させることができた。社内の業務プロセスが効率化され、新製品の開発にリソースを集中させられるようになった。
資生堂ではIT活用やDXに取り組む上で、今後もServiceNowのソリューションを様々な領域で積極的に活用することを検討している。グローバルでの標準化をさらに進め、より高度なデジタルトランスフォーメーションを実現する計画である。
公開日: 2023年1月1日
事例一覧に戻る