JFEスチール:IBM Watsonで制御故障復旧支援システムを構築しダウンタイム20%以上短縮

IBM Watson ExplorerとWatson Natural Language Classifierを活用し、過去の作業日報や故障報告書から類似事象と対処法を即座に提示。全国6カ所の製鉄所・製造所に展開しダウンタイムを大幅短縮。

+20 %以上のダウンタイム短縮
数値の信頼性
公式出典あり
言語AI

この事例のポイント

導入効果
+20%以上のダウンタイム短縮
業種
製造業
導入分野
生産・製造

Before

JFEスチール株式会社は、高炉・転炉・圧延機などの製鉄設備を24時間365日稼働させている。これらの設備に異常が生じ、製造ラインが長時間にわたって停止した場合、莫大な損失を招く恐れがある。いざというときには早急な復旧を図ることが、製鉄会社の現場の使命である。

しかし、さまざまな装置のトラブルを経験し、高度な保守・保全のノウハウを持った熟練担当者が定年を迎えて次々に退職していく中で、中堅以下の担当者は人数面でも層が薄く、技術を伝承したくても十分な時間がなかった。熟練担当者に依存した体制からの脱却が「待ったなし」となっていた。

装置のトラブルに対して、過去数十年にわたる作業日報や故障報告書、自身が作成した作業マニュアルなどの膨大な文書情報の中から、過去の類似事象とその対処方法を素早く探し出すことは、経験の浅い担当者にとって極めて困難な作業であった。

AI導入内容

JFEスチールは2016年に製鉄設備のメンテナンス業務でのAI活用に向けたチャレンジを開始し、2018年にIBMが提供する一連のソリューションを採用して制御故障復旧支援システム「J-mAIster®(ジェイマイスター)」を構築した。

システムの仕組み

設備に何らかの故障が起こった場合、保全担当者がモバイル端末に異常の発生状況をテキスト(または音声)で入力すると、以下のフローで情報が引き出される。

  1. IBM Watson Natural Language Classifier:入力された自然言語を解析し、意図に沿った検索条件を生成する
  2. IBM Watson Explorer:膨大な文書情報(過去の作業日報、故障報告書、作業マニュアルなど)から、質問内容と類似性の高い文書などを候補として抽出する
  3. モバイル端末への即時表示:復旧に必要となるナレッジとして、画面上に即座に表示される

ナレッジの対象範囲

  • 過去数十年にわたる作業日報
  • 故障報告書
  • 社内で作成された作業マニュアル
  • 保守・保全に関する技術文書

展開状況

2018年9月に全国6地区(倉敷、福山、千葉、京浜、知多、仙台)の製鉄所/製造所の全ラインへの展開を完了した。

After

J-mAIster®の導入により、以下の定量的効果が現れている。

製造ラインのダウンタイムを20%以上短縮 本システムを適用した故障対応では、装置に故障が起こった際の製造ラインのダウンタイムを20%以上短縮する効果があらわれている。

移動時間の削減 製鉄現場で過去事例や予備品の検索をモバイル端末で行うことで、現場と事務所を行き来する移動時間を削減できるようになったことも、ダウンタイム短縮につながっている。

技術伝承の加速 熟練担当者の経験知がAIを介して若手担当者にも即座にアクセスできるようになった。経験の浅い担当者でも、過去の類似事象とその対処方法を迅速に引き出すことが可能となり、早期復旧に役立つ有用な情報がタイムリーに提供される。

業務領域の拡大可能性 J-mAIster®は電気、計装、プロセスコンピューターの故障復旧支援に特化して構築されたが、工場オペレーションなど他の業務分野でも同じ仕組みの活用が期待されている。

JFEスチールの積極的なAI活用は、製造業における「ナレッジマネジメント×AI」の古典的かつ成功した事例として、今もなお多くの企業に参考とされている。

公式出典あり この事例の効果数値は、企業のプレスリリースまたは公式発表に基づいています。 出典を確認

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公開日: 2023年1月1日

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