Before
株式会社ニチレイ・アイスは、ニチレイフーズグループで製氷事業を展開する企業である。包装氷は季節性の高い商材であるがゆえに需要変動が激しく、夏場のピーク時には需要が急増し、オフシーズンには急減するという特徴を持つ。
安定的な生産・供給が求められる一方、人手作業による高精度な需要予測や最適な生産・輸送・在庫計画の立案は至難の業であった。熟練作業者や一部の作業者の負担が大きく、属人的なノウハウに依存した計画立案は、人材の退職や異動時に大きなリスクを抱えていた。また、約50品の商品に対して生産工場数、輸送倉庫、輸送形態、生産・輸送日程の組み合わせが約200万通りに及び、人間の手作業で最適解を導き出すことは現実的ではなかった。
AI導入内容
ニチレイ・アイスは株式会社日立製作所との協創で、数理最適化技術を活用した日立独自の「計画系業務最適化サービス」に、生産能力など40を超える複雑な制約条件や、熟練者の経験則に基づく勘を取り込んだAIシステムを構築した。
システムの技術的特徴
数理最適化技術の活用 制約条件を満たしつつ、KPIなどの目標値を最大化・最小化する最適解を数学的に求める技術を採用。生産能力、輸送キャパシティ、在庫制約など40以上の複雑な条件を同時に考慮できる。
熟練者の経験則の取り込み 熟練作業者が長年培ってきた勘やコツをAIに学習させ、純粋な数学的最適化だけでは得られない現場の知恵を反映させた。
膨大な組み合わせからの最適解抽出 約50品の商品に対し、生産工場数、輸送倉庫、輸送形態、生産・輸送日程の組み合わせが約200万通りに及ぶ中から、AIが最適解を自動で抽出する。
運用フローの変化
従来は熟練者が経験と勘に基づいて数日かけて計画を立案していたが、AIシステム導入後は制約条件と目標を入力するだけで、最適な生産・輸送・在庫計画が自動生成される。生成された計画を確認し、必要に応じて微調整するだけの運用となった。
After
本AIシステムの導入により、以下の定量的効果が確認された。
計画立案時間:約70%削減 従来の人手による計画立案に要していた作業時間と、AIシステム導入後の作業時間を比較した結果、約70%の削減を達成した。
需要変動への柔軟・迅速な対応 季節変動などにより左右される需要変動に対して、生産・輸送・在庫計画を柔軟かつ迅速に修正できるようになった。突然の気温上昇による需要急増にも、短時間で最適計画を再立案できる。
計画立案業務の質向上と脱属人化 熟練者の経験に依存していた計画立案から、誰でも一定の品質で計画を立案できる体制へ移行。人材の異動や退職に強い業務基盤を構築した。
従業員の業務負荷軽減 熟練作業者や一部の作業者に集中していた負担が分散され、働き方改革にも繋がっている。
ニチレイフーズは、2018年を皮切りに国内工場および海外工場におけるAIシステムの導入を展開・拡大している。これまで鶏肉加工工程の自動選別システムや炒飯の焦げ取りAIロボット、生産計画および要員計画の自動立案システムなどを開発・導入してきた。今後もAIシステム活用による生産工場の業務効率化や生産性向上、サプライチェーンの最適化に向けた取り組みを推進していく。
公開日: 2025年1月1日
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