Before
花王ビューティブランズカウンセリング株式会社には、百貨店やスーパーなどの化粧品売場で勤務する約6,000名の美容部員が在籍している。彼らの勤務形態は拠点間移動が多く、通勤費や交通費などの経費精算をいかに適正かつ効率的に運用していくかが長年の課題であった。
従来は人手による既存の通勤費・交通費の精算プロセスが主流で、美容部員が各自で移動実績を整理し、申請書を作成して上長や経理担当者の承認を得るという流れであった。季節商材のキャンペーン期や繁忙期には拠点間の移動が増え、精算業務の負担は一層大きくなっていた。また、人手による処理は精算漏れや二重申請のリスクがあり、統制強化の観点からも改善が求められていた。
AI導入内容
2020年10月より開発を開始し、2021年4月より花王ビューティブランズカウンセリング株式会社で本番運用を開始したのが、Miletos株式会社の経費領域専門AIプロダクト「SAPPHIRE(サファイア)」の新機能「AIによる通勤費・交通費の自動精算」である。
SAPPHIREの自動精算メカニズム
SAPPHIREは、独自の「行動予測アルゴリズム」に基づき、従業員の予定情報、入退館情報、勤怠データ等からAIが移動経路を予測する。出退勤に伴う移動なら「通勤費」、規定距離内での客先や拠点間の移動などは「交通費」といったように、税制・規定上のルールに沿って勘定科目を自動で仕訳する。これらのデータはユーザー企業の基幹システムに自動連携される。
具体的なプロセスは以下の通りである。
- 移動予測:行動予測アルゴリズムが予定・入退館・勤怠データ等から移動パターンを学習し、当日の最適な移動経路を算出する。
- 自動仕訳:学習済みの税制・規定ルールに基づき、通勤費と交通費を自動分類する。
- 異常検知(経費チェック):経費・勤怠・入退館データを自動で突き合わせ、二重申請や不自然な遠回り、架空申請などのリスクが高いデータを自動で抽出する。
- 基幹システム連携:仕訳されたデータを基幹システムに自動連携する。
- 確認フロー:申請者はAIが作成したデータを確認・承認するのみ。上長・経理担当者・人事担当者は、AIが異常フラグを立てたデータや、申請者が手動で修正した箇所のみ確認すればよい。
このプロセスにより、基本的に人の介在が不要となり、不正経費利用や人為的な申請ミスを構造的に排除できる設計となっている。
導入後の運用フロー
美容部員にとっては「月1回申請するだけで入力の手間が大幅に軽減された」との声が上がるほど、業務負担が軽減された。ペーパーレス化によりボタン1つで精算が完了し、精算漏れの防止にもつながっている。
After
SAPPHIREの導入により、花王ビューティブランズカウンセリング株式会社では通勤費・交通費の精算プロセスを自動化することで、以下の定量的効果が見込まれた。
年間およそ5万5千時間の業務時間削減 金額にしておよそ1.5億円の削減
約6,000名の美容部員が対象となり、2021年度中に同社における通勤費・交通費精算プロセスの自動化を実現した。
利用者からは「月1回申請するだけなので入力の手間が大幅に軽減された」「ペーパーレスになり、ボタン1つで精算ができるので便利」「精算漏れの防止にもつながる」などの声が届いている。
SAPPHIRE導入により削減できた時間を有効活用し、より生産性の高い業務へシフトしていくことで、花王グループ全体のDX推進にも貢献している。
公開日: 2021年7月6日
事例一覧に戻る