Before
エナジーウィズ株式会社は、先進的なIT技術の導入と全社的な利用促進をミッションとするDX推進部のもと、いち早く生成AIの活用に着手した製造業企業である。2025年3月末時点の従業員数は1,028名。
しかし、2024年6月に他社サービスでトライアル導入を開始した際、大きな課題が2つ明らかになった。1つ目は「機能の陳腐化」への懸念である。生成AIの技術は日進月歩で進化する中、トライアルで利用したサービスでは最新の高性能モデルを利用できない制約があり、せっかく導入してもすぐに時代遅れになる可能性があった。
2つ目は「シャドーIT化のリスク」である。会社が提供するツールが最新でなければ、社員が個人向けの高性能な生成AIサービスを業務で無許可利用する可能性があり、これはセキュリティガバナンスの観点から非常に危険であった。
もちろん、企業として機密情報を扱う以上、入力したデータが外部サービスの学習に使われないこと、情報漏洩のリスクを徹底的に排除できることが生成AI活用の絶対条件であった。
AI導入内容
2025年1月、エナジーウィズは「exaBase 生成AI」へ切り替えて本格運用を開始した。選定の決め手は3つあった。
1. 先進性と開発力 常に最新の高性能モデルが利用できる環境が提供されるため、機能が陳腐化する心配がなく、シャドーITのリスクも低減できる。
2. 管理者機能の充実 特に「生産性可視化機能」のダッシュボードが高く評価された。どの部署でどれくらいの業務時間が削減されているのかを定量的に把握でき、経営層への費用対効果説明が容易になる。最新月のデータではユーザー100人合計で1,600時間/月の削減効果が確認されている。利用ログの管理機能も充実しており、ガバナンスを効かせながら全社展開を進める上で不可欠であった。
3. 明確なセキュリティポリシー 「国内のデータセンターで完結」「入力データは学習に利用されない」といった点を明確に謳っており、他社サービスのように利用規約の隅々まで読み込まないと安全性が確認できない状況とは異なり、最初からセキュリティが担保されている安心感があった。
知財部門(IP戦略室)での活用
IP戦略室ではexaBase 生成AIがなくてはならないツールとなった。導入効果は非常に大きく、直近の1ヶ月だけでも個人で120時間を超える業務時間の削減につながった。
具体的な活用シーンは以下の通りである。
- 特許文献の読解・要約:1万文字を超える膨大な特許文献から特定の技術に関する記述を抽出したり、複雑な要件を整理してマッピングしたりする作業を、従来一日がかりだったものが数分で終わるようになった。
- 特許戦略の壁打ち:これから出願しようとする特許について、どのような方針で権利範囲を主張すべきかという戦略の相談相手として活用。
- 審査官対応戦略の立案:特許化が難しいと判断された案件に対して、審査官を説得するための応答戦略や別の角度からのアプローチ方法を提案してもらうクリエイティブな相談にも活用。AIが多様な切り口を提示することで、人間の思考だけではたどり着けなかった新たな戦略が見えてくることも少なくない。
さらに、新入社員も積極的にAIを活用し、ベテランも驚くほど的確で質の高いプロンプトを作成する様子が見られた。
全社展開の工夫
ツール導入だけで終わらせず、「使われる文化」を醸成するための施策を並行して進めている。
- Microsoft Teams専用チャンネル:「こんな便利な使い方ができた!」といった成功体験をラフに共有し合う場。
- 社内版SNS:アップデート情報と現場のユースケースをセットで発信し、ショート動画なども活用して誰もが「自分もやってみたい」と思えるコンテンツ作り。
- ヘビーユーザー発表会:全社員が集まる会議の場で、同じ会社の仲間が具体的な業務で成果を上げている姿を直接見る機会を設け、自発的な活用を促進している。
After
知財部門では月間120時間/人を超える業務時間削減を達成し、全社ではユーザー100人で月間1,600時間の業務削減効果が確認された。
膨大な特許文献の読解・要約作業が数分で完了するなど、定常業務を劇的に効率化。AIは単なる作業代行ではなく「思考のパートナー」として機能し、高度な思考整理が手元でできるようになったことで、業務の「量」だけでなく「質」そのものが大きく変わった。
今後は段階的に利用アカウント配布を加速させ、全社員が当たり前に使える環境を整備していく計画である。そのために「exaBase DXアセスメント&ラーニング」を導入し、全社員がセキュリティルールを守りながら効果的にAIを使いこなせるリテラシーを身につける教育体制を強化していく。
公開日: 2025年8月14日
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