フジパン:生成AIチャレンジコンテストで月間295人日分の業務時間削減

全社員を巻き込んだ生成AIチャレンジコンテストで425件の応募を獲得。月間約295人日分の業務時間削減を実現し、9割以上の社員が継続利用に意欲を示す組織文化変革を達成。

+295 人日/月の業務時間削減
数値の信頼性
公式出典あり
言語AI

この事例のポイント

導入効果
+295人日/月の業務時間削減
業種
製造業
導入分野
人事

Before

フジパン株式会社は「本仕込」「ネオバターロール」などのロングセラー商品で知られる、創業以来長く国民的な愛されブランドを築いてきた大手製パン企業である。2024年3月期の従業員数は14,740人に達し、製造・営業・管理部門が複雑に絡み合う大規模組織を運営している。

しかし、生成AIという新たな技術浪潮の前に、同社は多くの日本企業と同様の課題に直面していた。「導入したものの使いこなせない」という典型的なジレンマだ。DX推進部の調査によれば、社員からは「AIってそもそも触っていいのですか?」「間違った情報を出力したら怒られるのではないか」「何に使えるのか想像もつかない」といった不安や戸惑いの声が続出していた。無意識のうちに「使ってはいけない」という空気が組織全体に漂い、高度なセキュリティ要件とDXリテラシーのばらつきが、生成AI活用を阻む見えない壁となっていた。

特に深刻だったのは「AI人材の不足」「業務の属人化」「現場のDXリテラシーのばらつき」という3つの課題である。ツールを導入して終わりではなく、社員が実際に使いこなせる仕組みづくりが急務とされていた。

AI導入内容

フジパンは2024年夏頃から複数の生成AIサービスを比較検討し、高度なセキュリティと手厚いサポート体制、そして機能アップデートの速さを評価して「exaBase 生成AI」を全社導入した。だが、導入後の展開がこの事例の本質である。同社は「空気を変えること」と「挑戦してくれた人を可視化すること」を掲げ、全社員を対象とした「生成AIチャレンジコンテスト」を企画した。

生成AIチャレンジコンテストの仕組み

コンテストの目的は「生成AIを活用した業務改善・新提案アイデアの可視化と人材発掘」である。期間は1ヶ月間、対象は全社員。応募部門は個人賞と団体賞の2つで、個人賞では日常業務の小さな気づきや現場発のひらめきをすくい上げ、団体賞では部門を横断した複雑な課題にチームで取り組む。

この「遊び心のある」仕掛けには、「私でも使っていいんだ」という安心感と「面白そうだから使ってみよう」という前向きな空気感を醸成する狙いがあった。さらに上層部からのトップダウンの働きかけがあり、一部門の施策にとどまらずグループ全体を巻き込む大きなアクションに繋がった。

コンテスト期間中は、プレスリリース配信や全社向けオンライン活用講習会を実施。社内でもチラシやメールで継続的に情報を発信し、受賞者は創立記念式典で表彰し、社内報でも大々的に紹介した。

実際の活用アイデア

最終的に425件もの応募が集まり、最優秀賞を受賞した2つの作品が後に全社資産化された。

商談準備プロンプト(個人部門) 営業担当者が提案資料を効率的に準備するためのもので、GPT-4などの大規模言語モデル(LLM)の推論能力を最大限に引き出すプロンプトエンジニアリングが施されている。提案先の情報や条件を入力するだけで、ターゲット企業の課題に合わせた資料の骨子(たたき台)を自動生成する。さらに、AIを仮想のバイヤーに見立てた「仮想ロールプレイング」機能を実装し、商談のシミュレーションと想定問答の生成を即座に行える仕組みを構築した。

事業評価プロンプト(団体部門) 複数のタスクをAIに自動処理(チェイン)させることで、複雑な事業評価のプロセスを効率化するアイデア。データ分析から課題抽出、改善案の提示までをLLMが一貫してサポートする。

これらの優れたアイデアは「exaBase 生成AI」のプロンプトテンプレートに登録され、社内ポータルで共有。一個人のナレッジを「プロンプトという形式知」に変え、全社の資産として循環させる仕組みを構築した。

After

全応募作品について、どれだけの時間削減につながったかを自己申告ベースで集計したところ、月あたり約141,000分、つまり約295人日分の業務時間削減に相当するという試算結果が出た。

また、コンテスト終了後のアンケートでは「自分の業務を見直す良い機会になった」「思っていたより簡単だった」といった前向きな声が多数寄せられ、生成AIに対する心理的なハードルが大きく下がった。特筆すべきは、「次回またコンテストがあれば参加したいか」という問いに対して90%以上の社員が「参加したい」と回答したことだ。

この取り組みは単なる業務効率化にとどまらない。これまで見えていなかったAIに関心を持つ人材を発掘でき、優れたアイデアをテンプレート化して組織の資産として共有する仕組みを構築した。現在はグループ横断の新たなAIプロジェクトチームを立ち上げ、生成AIの活用を文化として定着させようとしている。将来的には「AIカンパニー」を目指し、商品開発や顧客体験の改善といった事業の根幹に関わる価値創出へと引き上げていく計画である。

公式出典あり この事例の効果数値は、企業のプレスリリースまたは公式発表に基づいています。 出典を確認

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公開日: 2025年9月17日

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