Before
Hapag-Lloydは、140カ国に400以上の拠点を持ち、280隻のモダンな船隊で年間1,190万TEUを輸送する世界有数のコンテナ船会社である。同社は1,600,000個以上のコンテナにリアルタイム追跡デバイスを搭載し、顧客ファーストの姿勢で先端技術を活用している。
しかし、企業監査部門の業務フローには手作業による非効率と非一貫性が残っていた。監査所見(Finding)の作成やエグゼクティブサマリーの作成は、時間を要する手作業プロセスであり、ドキュメントの質にばらつきが生じやすかった。複数の手作業ステップを経るため、監査担当者が重要な分析や意思決定に集中する時間が制限されていた。
既存のインフラ(ベクトルデータベースなど)では、監査業務の最適化に必要なAIモデルの迅速なセットアップと展開が困難だった。AWS SysOpsアカウントでのインスタンス立ち上げも煩雑で、コスト管理にも課題があった。高品質で信頼性の高いスケーラブルなソリューションが求められていた。
AI導入内容
Hapag-LloydはDatabricks Mosaic AIを活用し、監査部門向けの生成AIソリューションを開発・展開した。
DBRXモデルの採用とファインチューニング
当初はLlama 2 70bやMixtralなどのモデルを評価したが、最終的にDatabricksのDBRXモデルを採用した。DBRXは事前に試したモデルよりもはるかに優れた結果を返すことが確認された。Hapag-Lloydのエンジニアは、12Tトークンの厳選データを用いてDBRXモデルをファインチューニングし、監査所見とサマリーの生成品質を向上させた。
Finding Generation Interface
監査所見の自動生成インターフェースを構築した。データの取り込み・準備からプロンプトエンジニアリング、モデル評価・展開までのフルライフサイクルをDatabricks上で管理。生成された所見とサマリーはDelta Tableに保存され、容易にアクセス・検索できるようになった。
MLflowによる自動評価
Databricks MLflowを活用して、プロンプトとモデルの評価を自動化した。手作業で行っていた監査所見の生成・レビュー作業を効率化し、一貫した品質を担保する仕組みを構築した。
RAGベースのチャットボット
Gradioを使用してチャットボットインターフェースを開発し、Databricks Model Servingと統合した。監査担当者は自然言語でドキュメントをクエリでき、RAG(検索拡張生成)により正確で文脈に即した回答を取得できる。これにより、複数のファイルから特定の情報を探す時間が大幅に短縮された。
After
生成AIの導入により、Hapag-Lloydの監査部門は定量的かつ定性的な飛躍を遂げた。
監査所見作成時間:66%削減
監査所見の作成時間が15分から5分に短縮され、1件あたり66%の時間削減を実現。監査1件あたり平均7つの所見があるため、1件の監査全体で大幅な時間短縮効果が生まれる。
エグゼクティブサマリー審査時間:77%削減
エグゼクティブサマリーの審査時間が30分から7分に短縮され、77%の時間削減を達成。監査担当者は行政的作業から解放され、より重要な分析や戦略的な判断に注力できるようになった。
監査自動化への展開基盤
現在のソリューションを監査プロセスのさらなる領域に拡張する計画を進めている。LLMのファインチューニングによる監査レポートの構造化・整理、MLflowを活用した評価プロセスの自動化など、今後の監査業務の高度化に向けた土台が確立された。
Hapag-Lloydは、生成AIが行政業務から同僚を解放する上で重要な役割を果たすと確信し、Databricksを首选パートナーとして今後も監査業務のAI変革を推進していく。
公開日: 2024年10月1日
事例一覧に戻る