Before
東京ロジファクトリーが運営する物流倉庫では、多層倉庫における荷役作業の効率化が長年の課題となっていた。都市部における物流施設は、土地の有効活用のため複数階建ての倉庫が主流であり、フォークリフト運転員が手動で荷物を搬送し、さらにエレベーターで階層間移動させる作業が不可欠だった。
しかし、垂直方向の移動は時間がかかり、作業全体のボトルネックとなっていた。特に、人手不足が深刻化する物流業界では、フォークリフト運転員の確保自体が困難になってきており、多層倉庫の運営コストは上昇傾向にあった。24時間稼働を目指す上でも、人間がエレベーターの操作や階層間の監視を行う必要があるため、完全自動化には大きな障壁があった。
この課題を解決するためには、自動フォークリフトがフロア内を自律走行するだけでなく、エレベーターという建物設備とも自動的に連携し、荷物の搬入・搬出・階層移動をすべて自動で行う技術が必要だった。しかし、重量物を積載したフォークリフトがエレベーターに乗り込む際の重量変化による床面の沈み込みや、段差への対応など、技術的なハードルは高かった。
AI導入内容
東京ロジファクトリーは、ハクオウロボティクスおよびOcta Roboticsと協力し、自動フォークリフト「AutoFork」と荷物用エレベーターの自動連携搬送を実証した。
深層学習による物体検出と設備連携技術
AutoForkのパレット認識:物体検出(Object Detection)
ハクオウロボティクスが開発した自動フォークリフト「AutoFork」は、深層学習(Deep Learning)を用いた物体検出技術により、不定形な仮置き場にあるパレットを瞬時に識別する。パレットの穴の位置や姿勢、荷物の積み上がり状況をミリ単位の精度で推定。AIが環境変化(照明や荷物の色など)に左右されず、フォークを正確に挿入するための制御指示をリアルタイムで生成する。
エレベーター連携システム「LCI」とエッジ通信
Octa Roboticsが開発した「LCI(Link Control Interface)」により、建物設備とロボットを4G/5G回線およびエッジゲートウェイを介してセキュアに接続。AutoForkは自身の走行ステータスとエレベーターの制御盤情報をクラウド経由で同期し、ドアの開閉タイミングに合わせた精密な進入制御を行う。これにより、有人環境でも安全かつ自律的な多層階搬送を実現した。
縦横両方向の自動搬送フロー
実証実験では、以下の一連の動作を完全自動化することに成功した。
エレベーター連携によるパレット自動搬入
倉庫1階でAutoForkがパレットを認識・取得後、エレベーター手前まで移動し、「LCI」を介してエレベーターを呼び出す。エレベーターが到着しドアが開くと、パレットをエレベーター内へ自動搬入する。搬入後、2階への移動を指令する。
エレベーター連携によるパレット自動搬出
2階に配置された別のAutoForkが、エレベーターが到着したことを「LCI」経由で確認し、エレベーター手前に移動してドア開閉を確認する。パレットを自動搬出し、倉庫2階の指定ゾーンへ自動搬送する。すべてのパレットの搬出が完了すると、戸閉指令を出して作業を完了する。
重量物搬送時の安定性確保
積載荷重4トンの荷物用エレベーターでの実験では、重量物を積載してエレベーター内へ進入する際に発生する床面の沈み込みや出入口の段差という課題にも対応した。AutoForkは独自の制御技術により、エレベーターかごの揺れや段差があっても安定して搬送作業を行える。
After
今回の実証により、多層物流倉庫における「縦横完全自動化」の実現可能性が示された。
日本初の自動フォークリフト・エレベーター連携
物流倉庫において、自動フォークリフトと荷物用エレベーターが自動連携してパレット搬送を完結させる事例は、今回が日本初である。これまでフロア内の横方向搬送は自動化が進んでいたが、階層間の縦方向搬送は人間の介助が必須だった。この壁を突破したことで、多層倉庫全体の完全自動化に大きく近づいた。
省人化と24時間稼働の実現
エレベーター連携機能が実用化されることで、多層倉庫での深夜帯や休日の稼働も人間の監視なしに行えるようになる。物流2024年問題を背景とした人手不足緩和と、物流施設の収益性向上に大きく貢献する。東京ロジファクトリーは、この技術を今後の物流拠点展開に積極的に活用していく計画である。
物流ロボットの新たな標準モデル
重量物搬送における安定性と、建物設備とのシームレスな連携は、今後の多層倉庫の標準的なソリューションとして注目を集めている。ハクオウロボティクスも、エレベーター連携にとどまらず、その他の物流設備との連携強化を進めており、物流倉庫全体の無人化・自動化が加速されることが期待される。
公開日: 2024年6月20日
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