藤沢市役所:ServiceNow CSMで月間5000件の電話問い合わせを削減、シン・シヤクショプラットフォーム構築

約44万市民の藤沢市がServiceNow CSMでコンタクトセンタープラットフォームを構築。わずか6カ月でリリースし、FAQ・チャット・オペレーター対応を統合。月間5000件の電話削減と業務効率化を実現。

+5000 件/月の電話問い合わせ削減
数値の信頼性
公式出典あり
RAG

この事例のポイント

導入効果
+5000件/月の電話問い合わせ削減
業種
士業

Before

神奈川県藤沢市は約44万4000人の市民が暮らす中規模都市である。湘南地域の中心的な都市として、観光資源と居住環境を兼ね備え、近年も人口が増加傾向にある。しかし、市民向け行政サービスの対応は、限られた職員数で毎月2万~3万件もの電話問い合わせに応対する必要があり、職員の業務負担は極限に近い状態だった。

「市民の皆さんから寄せられる電話は、毎月約2万~3万件。限られた職員数では、問い合わせに答えるだけでも手いっぱいですし、頼んだことが処理されたかどうかを確認したりするのもひと苦労でした」と語るのは、藤沢市企画政策部デジタル推進室の担当者である。1日に何万件もの電話が届くと、どうしても待たされる電話が増加し、市民の大切な時間を無駄にしてしまう状況が常態化していた。

行政サービスへの問い合わせ先は窓口や各部課に分散しており、市民は「どの部署に聞けばいいのか」という段階で迷い、とりあえず総合窓口に電話するという悪循環が生じていた。また、同じ質問が複数の窓口に寄せられることも多く、対応の標準化やナレッジの共有も進んでいなかった。

さらに、公民館やスポーツ施設などの予約システムはバラバラに運用されており、予約するには別々のID入力が必要で、市民にとって使い勝手の悪い状況が続いていた。デジタル化の遅れは、市民サービスの質低下と職員の業務負荷増大という二重の課題を生み出していた。

2021年末、藤沢市はこれらの課題を解決するため、「シン・シヤクショプラットフォーム」構想を策定。「どこでも」(市役所に行かなくて済む)、「ピッタリ」(一人ひとりのニーズにあった)、「かんたん」(一度で手続きが済む)という3つのバリューを満たす行政サービスの実現を目標に掲げた。

AI導入内容

藤沢市は「シン・シヤクショプラットフォーム」構想の第1弾として、行政サービスに関する問い合わせ先を一元化し、FAQ、チャット、オペレーター対応などマルチチャネルで対応するコンタクトセンタープラットフォームの構築を計画した。その基盤としてServiceNowのCustomer Service Management(CSM)を採用した。

選定理由

「CSMには、FAQやチャット、オペレーターによる音声対応など、様々なコミュニケーション方法に対応できるツールが用意されています。市民の皆さんが、まずはポータル上でFAQを調べ、求める答えがないときはチャットで問い合わせ、それでも問題が解決しなければオペレーターに尋ねるといったように、同じポータル上で効率よくコミュニケーションができる点に魅力を感じました」と担当者は選定理由を説明する。

また、ServiceNowのCSMは拡張性が高く、将来あらゆる申請・手続きを網羅したいという構想にかなっていた点も決め手となった。

実装したシステム構成

AI主導のコンタクトセンター(Virtual Agent & AI Search)

市民向けポータルサイト「ふじまど」を開設し、AIエージェントによる3段階の問い合わせ対応フローを構築した。

  1. AI Searchによる自己解決(AI検索): 単なるキーワード検索ではなく、ServiceNowのAI Searchを導入。市民が自然な言葉(例:「子供が生まれたときの手続きは?」)で入力すると、AIが文脈を理解し、約3000件のFAQの中から最適な回答を上位に表示する。関連性の高い情報が瞬時に提示されるため、自己解決率が飛躍的に向上した。

  2. Virtual Agentによるチャット対応: FAQで解決できない場合は、自然言語理解(NLU)を搭載したAIエージェントVirtual Agentが対話形式で対応。AIが市民の意図(Intent)を正確に解読し、必要な情報を聞き出したり、該当するオンライン申請へ直接誘導したりする。これにより、電話をかけることなく、24時間365日いつでもどこからでも解決が可能になった。

  3. オペレーター音声対応(エスカレーション): AIでも解決できない複雑な問い合わせのみ、オペレーターへ情報を引き継いだ上でエスカレーション。AIとの対話履歴が共有されているため、二度手間を省いたスムーズな電話応対が可能。

Predictive Intelligenceによる分析・改善 Predictive Intelligenceを活用し、市民から寄せられる問い合わせ内容の傾向をAIがクラスタリング分析。新たに作成すべきFAQの優先順位をデータに基づいて特定するなど、サービス品質の継続的なブラッシュアップを実現している。

「ふじまど」への統合展開

現在進行中の取り組みとして、公民館やスポーツ施設などの予約システムをデジタルプラットフォームに取り込み、市民ポータルサイト「ふじまど」で予約できる仕組みを構築中。従来別々だったID入力が1つの「ふじさわID」で完結するようになり、施設利用料のオンライン決済も可能になる予定だ。

技術的特徴

ローコード開発による短期間リリース

ServiceNowのローコード設計により、パーツが揃っておりアジャイル開発に適していた。23年3月に導入決定し、わずか半年後の23年10月にリリースという短期間での構建を実現。「いろいろなシステムの開発プロジェクトに携わってきましたが、これほど短期間でリリースできたシステムは他にありません」と担当者は振り返る。

パートナー連携による運用支援

Blueshipとベルシステム24の連携により、ServiceNowのワークフロー構築とコンタクトセンターのオペレーションを統合。システム構築から運用まで一気通貫で支援する体制を構築した。

将来構想:生成AIによる自動化

今後は生成AIを使ってチャットによる回答を自動化するなど、継続的なサービス改善を計画している。

After

ServiceNow CSMを基盤としたコンタクトセンタープラットフォームの導入により、藤沢市は以下の定量的・定性的な成果を達成した。

電話問い合わせの大幅削減

プラットフォーム経由の問い合わせが増加したことで、電話対応の件数が大幅に減少。市役所に寄せられる電話のうち、受け付けたオペレーターから各部課の担当者に回される本数は、導入前に比べて毎月5000件も減少した。月間2万~3万件の電話のうち約2割が削減された計算である。

FAQ自己解決の推進

市民向けポータルを開設して以来、FAQの検索件数は半年で約3万5000件に達した。FAQで問い合わせを自己解決できるようになったことが、電話削減の大きな要因となった。リリース当初約2000件だったFAQ項目は職員の積極的な追加努力により約3000件に増加し、「FAQを充実させれば職員の負担が減り、市民にとって自己解決の機会が広がる」という好循環が生まれた。

職員の業務負担軽減と働き方改革

電話対応というリアルタイムでの対応業務が減少したことで、職員は計画的な業務に時間を割けるようになった。同時に、問い合わせ内容のデータ蓄積と分析により、業務改善の優先順位付けやFAQの充実に反映できるようになった。

市民サービスの質的向上

「どの部署に聞けばいいのか」という迷いが解消され、ポータルサイトにアクセスすれば必要な情報にたどり着けるようになった。24時間365日利用可能なFAQ検索とチャットによる問い合わせは、働く世代の市民にとって大きな利便性となった。

将来への基盤構築

2024年10月には「ふじさわID」の発行を開始し、施設予約やオンライン行政手続きの一元化を進めている。コンタクトセンター業務以外へのプラットフォーム活用拡大は、藤沢市のデジタル化をさらに加速させる基盤となっている。

「今後も、生成AIを使ってチャットによる回答を自動化するなど、継続的なサービス改善を図っていきたい」と担当者は構想を明かす。ServiceNowの拡張性を活かし、「シン・シヤクショプラットフォーム」は進化を続けている。

公式出典あり この事例の効果数値は、企業のプレスリリースまたは公式発表に基づいています。 出典を確認

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公開日: 2024年9月1日

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