Before
Bordrは、Richard Loと妻Kathleenによる夫婦2人の独立起業家が運営するオンラインビジネスである。2020年にポルトガルに移住した際、外国人が税務番号(NIF - Número de Identificação Fiscal)を取得するために必要な「ポルトガルの税務居住者による代理申請」という法的・制度的ハードルを発見した。
当初、この手続きに関する十分な情報がなく、税務代理人は一定の責任を負うため見知らぬ人には頼めない。多くの人がFacebookグループで非公式な助けを求めていたが、信頼性に欠け、法的リスクも伴う状況だった。
Richard夫妻は、この問題の解決策として地元の法律事務所とパートナーシップを結び、外国人のNIF取得プロセスを代行管理するサービスを立ち上げた。これがBordrの始まりである。副業として始まったこの事業は、数ヶ月で6桁の収益を生むビジネスに急成長した。
しかし、受注数が増えるにつれ、業務管理の課題が浮き彫りになった。NIFの申請管理にはPostmark(メール)、Paperform(フォーム)、Stripe(決済)、Airtable(データ管理)など、複数のサービスとアプリを使用していた。受注が増加すると、これらのツール間のデータ連携やステータス管理が手作業では追いつかなくなり、生産性の維持・向上が急務となった。
「注文を処理し、生産性を向上させるために業務を自動化する方法が必要だった」。限られた人員(夫婦2人)でスケールするためには、ワークフロー自動化ツールが不可欠であった。
AI導入内容
BordrはZapierとn8nの2つのワークフロー自動化ツールを検討した。評価の結果、n8nを「全てをつなぐ大きな部分」として選択した。選択理由は以下の通りである。
選定理由
Richardは比較を説明する。「Zapierはn8nよりもコードを抽象化する。Zapierは1〜2ステップの非常にシンプルなタスクには本当に優れている」。しかし、Bordrのワークフローはより複雑で、Zapierが対応できる2ステップをはるかに超えていた。
「n8nは長期的なメンテナンスの観点からはるかに柔軟だ。n8nはAPIの上にあるUIのようなものだ」。n8nの機能により、ビジネスで使用するすべての統合を、複数の分岐や条件ロジックを持つ強力な自動化ワークフローに組み合わせることができた。
実装したn8nワークフロー
Bordrが実装したn8nワークフローは、以下のタスクを自動化している。
- Airtableへの注文追加:受注データを自動的にデータベースに記録
- 顧客へのトランザクションメール送信:ステータス変更や進捗を自動通知
- 法律事務所パートナーへのタスク作成:代理人への作業依頼を自動生成
- 委任状PDFの生成:法的書類を自動作成
- 送信リクエストのログ記録:監査証跡を自動保持
- 顧客へのNIF PDF送信:取得した税務番号書類を自動配布
具体的なワークフロー構成は以下の通り。
委任状PDF作成ワークフロー:18ノードで構成(うち2つの通常ノードと5つのコアノード)
顧客へのNIF送信ワークフロー:9ノードで構成(うち1つの通常ノードと4つのコアノード)
さらに自動化に加え、顧客がPDFをアップロードできるセルフサービス機能も提供している。「これら2つを組み合わせることで、提供したいカスタマーサービスを犠牲にすることなく、業務をスケールすることができた」。
技術スタック
- ワークフロー自動化:n8n(セルフホスト)
- メール配信:Postmark
- フォーム:Paperform
- 決済:Stripe
- データ管理:Airtable
- 書類生成:PDF自動生成機能
After
n8nによるワークフロー自動化を実装した後、Bordrは生産性の大幅な向上を実現し、NIF注文を迅速かつ安定的なペースで処理できるようになった。
業務スケーリングの実現
自動化により、注文処理能力が飛躍的に向上。限られた人員(夫婦2人)で急増する需要に対応でき、事業は$100K規模のオンラインビジネスとして成長した。
カスタマーエクスペリエンスの向上
さらに重要なことに、ワークフロー自動化はカスタマーエクスペリエンスも改善した。顧客は注文のステータスについて最新情報を得ることを評価しており、特にNIFのような重要な移住要件に関してはなおさらである。すべての顧客に注文状況を手動でメールするのは不可能だったが、ワークフローにPostmarkを統合することで、プロセスの各ステップについて自動的にトランザクションメールを送信することが可能になった。
Zapierとの使い分け
Richardは現在も「どうしても必要な時は少しZapierを使うが、それ以外はすべてn8nを使う。n8nの方がはるかに強力だから」と述べ、n8nが複雑なワークフローの主流となっていることを示している。
低コード自動化の可能性
Bordrの事例は、限られたリソースを持つ小規模チーム・個人起業家でも、n8nのような低コード自動化ツールを活用することで、法的・制度的な複雑さを伴うサービス業務をスケールし、収益性の高いビジネスを構築できることを示している。特に、複数のサービス(決済・フォーム・メール・データベース・書類生成)を統合し、エンドツーエンドで自動化する能力が、少人数での事業拡大の鍵となった。
公開日: 2025年1月1日
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