Before
Circulaは、ドイツ発の経費・出張管理プラットフォームである。2,800社以上の顧客を擁し、財務チームの承認業務において最大87%の時間削減を実現するソリューションを提供している。しかし、自社の営業運用については、効率化が急務となる課題を抱えていた。
Fintech業界においては、データの正確性が事業の命運を分ける。 Circulaの営業チームは、財務チームを顧客とするため、自身の営業プロセスにおいてもデータ精度の高さを示す必要があった。しかし、従来の営業運用には以下の構造的な問題が存在した。
データの断片化とサイロ化
CRM(HubSpot)とマーケティングツールが完全に統合されておらず、リード管理が遅延し、データサイロが発生していた。営業チームは複数のシステム間で手動でデータを移行する必要があり、最新の顧客情報にアクセスできない状況が頻発していた。
手動ハンドオフのリスク
営業担当者間のリードハンドオフ(SDRからAccount Executiveへの引き継ぎ)が手動で行われており、データの欠落や不正確さのリスクが常に存在した。財務チームを相手にする営業において、不正確なデータは信頼性を損ない、商談機会を失う直接的な原因となりうる。
スケーラビリティの欠如
リアルタイムでリード情報を同期し、レポートを自動化するスケーラブルな方法が欠けていた。チームは手作業でのレポート作成に多くの時間を費やし、本来の営業活動に注力できない状況が常態化していた。
これらの課題は、急速に成長するCirculaにとって大きな障壁となっていた。営業プロセスの非効率が、市場での競争優位性を損なうリスクを孕んでいた。
AI導入内容
CirculaはMakeを活用して、営業Tech Stackの重要部分を自動化した。以下の3つの柱からなるソリューションを構築した。
Make AI Agent による「自律型リード・エンリッチメント」
Circulaは、Makeを活用した従来のワークフローを、 AI Agentを組み込んだ「自律型データ・オーケストレーション」 へと進化させた。これにより、営業Tech Stack全体で単なるデータ転記以上の価値を創出している。
AI駆動型リードスコアリング(予測AI)
HubSpotに新たなリードが登録されると、MakeのAI Agentノードが即座に起動する。AIはAirtable内の過去の商談成功データとWeb上の公開情報を参照し、以下の項目を多角的に分析する:
- ドメイン情報のAI解析: リード企業の業種、規模、最近の資金調達状況などの背景情報をAIが自動収集・解釈
- 確度スコアリング: 過去の成約パターンに基づく予測モデルを用い、商談化の確率(0〜100)をリアルタイムで算出
- 優先順位付けの自動化: スコアに基づき、SDR(営業開発担当)へSlack通知を行うタイミングと内容をAIが最適化
エージェントによるデータクレンジングと統合
データの断片化を解消するため、MakeのAI機能を用いて非構造化データの構造化を行っている。
- 重複排除のインテリジェント化: 単一のメールアドレス照合だけでなく、企業名や担当者の類似性をAIが判断し、高精度なレコード統合を実現
- カスタムフィールドのAIマッピング: 異なるシステム間(HubSpot ↔ Airtable)で、文脈を考慮した高度なデータマッピングを自動実行
Slackによる「インテリジェント・営業レポート」の配信
営業チームの意思決定を支援するため、単なる情報の羅列ではないAIによる解釈を加えたレポートをSlackに自動配信している。
- エグゼクティブ要約: ホットリードの背景や課題(ペインポイント)をAIが要約し、AE(アカウントエグゼクティブ)が商談準備に費やす時間を大幅に短縮
- ネクストアクション提案: AIが「このリードには過去に同様の課題を持った事例Aを紹介すべき」といった具体的な戦術を提案
- チーム別・時系列トレンド分析: 営業活動のボトルネックをAIが特定し、週次の振り返りレポートとして自動生成
これにより、SDRとAEは**「どのリードに、いつ、何を伝えるべきか」をAIのサポートを受けながら判断**できる環境が整い、リードへの対応の質とスピードが劇的に向上した。
After
Makeによる自動化の導入により、Circulaは以下の定量的・定性的成果を達成した。
成長率:4年間で1,987%
自動化により営業チームは高付加価値活動に集中できるようになり、これが4年間で1,987%という急成長に貢献した。これは単なる時間節約ではなく、より戦略的な営業活動への転換による成果である。
リードハンドオフの高速化
SDRからAEへのリード引き継ぎが自動化され、データの完全性を保ちながら迅速なハンドオフが実現された。商談機会の損失リスクが減少し、コンバージョンレートが向上した。
営業イネーブルメントの強化
自動レポートにより、営業チームはリアルタイムで必要な情報にアクセスできるようになった。Head of OperationsのManuel Ensinger氏は以下のように述べている:
「自動化の結果、営業チームは間違いなくより良くイネーブルメントされました。SDRからAccount Executiveへのデータ引き継ぎが容易になりました。Makeによるレポート自動化により、実際に重要なことに費やす時間が増えました。」
データ品質と信頼性の向上
クリーンで完全なリードデータが確保され、正確なインサイトと成長の基盤が構築された。財務チームを顧客とするCirculaとして、自らのデータ管理の精度を実践によって示すことができた。
このケーススタディは、営業プロセスの自動化が企業成長にどう寄与するかを示す好例である。特にFintechのようなデータ精度が重要な業界において、Makeによる自動化は競争優位性の源泉となった。
公開日: 2025年9月1日
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