Before
大阪観光局が運営する「osaka-info」には、700を超える観光スポットが登録されている。しかし、訪日観光客は主要な観光スポットしか知らないため、人気のスポットに集中し、オーバーツーリズムを引き起こすという課題があった。観光案内所のスタッフによる対応では多言語対応に限界があり、24時間体制での情報提供も困難だった。
多言語での自然な会話による観光情報提供ができれば、観光地と観光客を紐づけ、観光客の訪問を分散できる効果が期待された。しかし、従来のルールベースのチャットボットでは、複雑な質問への対応や自然な対話が困難で、利用者の満足度は低かった。実際、従来のチャットボット利用数は1日100件未満にとどまっていた。
生成系AIの導入には、誤情報の提供を排除することや、処理可能な文字数の上限がある中でOSAKA INFOの膨大な情報量から的確な回答を引き出す仕組みづくりといった技術的課題があった。
AI導入内容
Kotozna株式会社は、日本初となる生成系AIチャットボット「Kotozna laMondo」を開発し、大阪観光局の観光案内所PivotBase等に導入した。世界中から集まった多様性豊かなコンピュータエンジニア・サイエンティストでチームを構成し、技術的な研究を進めた。
生成AIによる自然言語対応
「Kotozna laMondo」は、生成系AIを活用することで、訪日観光客が自然言語(日常会話)で質問できるチャットボットを実現。多言語での自然な会話を通じて、700を超える観光スポット情報を提供できるようにした。単なる情報提供だけでなく、観光客の好みや状況に応じたパーソナライズされた提案も可能になった。
誤情報排除の仕組み
生成系AIの課題である「誤情報の提供を排除すること」に対しては、6月から大阪観光案内所PivotBase等での検証実験を重ね、生成AIのクセと対処法を導き出した。また、JTBの観光業界における知見をもとに回答精度を高め、膨大な情報量から的確な回答を引き出す仕組みを構築した。
オーバーツーリズム解消への貢献
主要な観光スポットだけでなく、マイナーなスポットも含めた幅広い情報提供を行うことで、観光客の訪問分散を促進。観光地と観光客を適切にマッチングさせ、オーバーツーリズムの緩和に貢献する仕組みを目指した。
After
「Kotozna laMondo」の導入により、大阪観光局は以下の定量的成果を達成した。
利用率の大幅増加:1.5倍
従来のチャットボット利用数は1日100件未満だったが、「Kotozna laMondo」搭載開始後、わずか3日間で1日450件と1.5倍の利用増を達成した。生成AIによる自然な対話体験が、訪日観光客のニーズにマッチしたことが要因となった。
業界からの高い評価
本取り組みは複数のメディアに紹介され、関心を持ったその他観光局数か所から問い合わせを受けるなど、業界内からの高い評価を得た。観光DXの先進事例として注目を集め、他地域への展開も進められている。
この取り組みは、デジタル田園都市国家構想の実現に向けた「Digi田甲子園」の事例としても紹介されており、生成AIを活用した観光情報サービスの先駆けとなっている。人手不足が深刻化する観光業界において、生成AIによる効率的な情報発信は、今後ますます重要な役割を果たしていくと期待される。
公開日: 2023年10月21日
事例一覧に戻る