星野リゾート:生成AI「KARAKURI assist」で予約センター対応力を強化、新人早期戦力化を実現

生成AIオペレーター支援ツール「KARAKURI assist」を導入。5,000を超えるテンプレートをAIが検索・提案し、2024年4月入社の新人が早い段階でベテラン並みの対応を実現。定型的な質問の自動返信では正答率80%を目標に掲げる。

+80 %正答率目標
数値の信頼性
公式出典あり
音声AI

この事例のポイント

導入効果
+80%正答率目標
業種
宿泊業

Before

星野リゾートは、全国に展開する高級ホテル・旅館チェーンである。同社の全施設の予約関連業務を担う宿泊予約センターでは、顧客満足度向上を目指し、電話対応の効率化やWeb予約ページへのAIチャットボット導入など、業務の生産性向上に注力してきた。しかし、電子メール業務については属人的になりやすいという課題を抱えていた。

長年にわたって蓄積された返信文のテンプレートは5,000を超える上、ブランドや施設、分野ごとに階層構造で管理されているため、新人オペレーターにとっては必要なテンプレートを見つけ出して返信文を完成させるのは容易ではなかった。経験の浅いオペレーターは、適切なテンプレートを探すだけで多くの時間を費やし、対応品質にもばらつきが生じていた。

さらに、星野リゾートでは2024年にも5施設の開業と1施設のリニューアルを予定しており、拠点拡大に伴い採用活動を強化していた。宿泊予約センターでも新人が増加することが予測され、経験に頼ることなく精度の高いメール業務を遂行できるよう、環境の整備が中長期的に必要となっていた。

将来的な業務改善に向けて生成AIの活用を模索していたが、AIがお客様に嘘を教えてしまう可能性や、間違った情報を提供するリスクが懸念されていた。特に旅行業界はミスが許されない大きな額の取引が多く、いきなりお客様とAIを直接向き合わせるわけにはいかなかった。

AI導入内容

これらの課題に対し、星野リゾートはカラクリ株式会社の生成AIオペレーター支援ツール「KARAKURI assist」を導入した。 大規模言語モデル(LLM) を活用した自動返信だけでなく、オペレーターの支援ツールとして位置づけ、人間とAIの協働による品質向上を目指した。

テンプレート検索の効率化

KARAKURI assistの高度な検索機能により、5,000を超えるテンプレートの呼び出しが容易になった。AIが受信メールの内容を分析し、最適なテンプレートを自動で提案する。これにより、新人オペレーターでも必要な情報を即座に見つけ出せるようになり、対応スピードが大幅に向上した。

生成AIによるメール返信文の自動生成

KARAKURI assistはLLMによるメール文章のドラフト作成機能を搭載している。社内ナレッジをプロンプトとして与えることで、企業独自のルールや専門用語に対応した返信文の作成が可能だ。過去の問い合わせ内容と回答パターンを学習したAIが適切なテンプレートを提案することで、経験の浅いオペレーターでもベテラン並みの回答品質を実現できるようになった。

段階的な自動化の推進

星野リゾートは、OMO・界・BEBの3ブランドを選定し、食事の時間や施設の営業時間など普遍的な内容の返信文において、生成AIによる自動対応に着手した。80%の正答率を達成したら次のブランドに広げていくという段階的なアプローチを採用し、品質を担保しながら自動化領域を拡大している。

また、AIが生成した返信文を一度人間が吟味し、必要に応じて「人間味のある一言」をプラスすることで、星野リゾートらしさを演出する。プロンプトインジェクションなど悪意のある入力に対しては、旅行に関係ある質問かを生成AIで判定してスコアリングし、スコアが低い場合には定型文を返す安全策も講じている。

After

KARAKURI assistの導入により、星野リゾートの宿泊予約センターは以下の成果を達成した。

新人の早期戦力化

2024年4月入社の社員が早い段階で業務デビューに成功した。すでにベテランを超える数の問い合わせメールに対応するなど、経験に依存しない業務遂行が可能になった。テンプレート検索の効率化により、新人でも高品質な対応が実現できるようになった。

自動返信の正答率向上

定型的な質問に対する自動返信において、正答率80%を目標に掲げた次世代予約センターの実現へ向けて順調に成果を上げている。OMO・界・BEBブランドでの運用実績を積みながら、対象ブランドを順次拡大していく計画だ。

この取り組みにより、施設拡大と人材育成のスピードを両立させ、顧客満足度を維持しながら業務効率化を実現した。生成AIは単なる業務効率化ツールではなく、新人育成の加速器として機能している。星野リゾートは、次世代予約センターの実現に向けて、AI活用の範囲をさらに広げていく方針だ。

公式出典あり この事例の効果数値は、企業のプレスリリースまたは公式発表に基づいています。 出典を確認

この記事をシェア

X でシェア Facebook LINE

公開日: 2024年8月6日

事例一覧に戻る