焼肉Like(香港):AI駆動の全チャネルマーケティングで顧客エンゲージメント向上

美心集團が展開する「Eatizen美心薈」アプリ。Web3ゲームと連携した独自のエンゲージメント設計で、顧客の来店頻度とブランドロイヤルティを向上。焼肉Likeなど人気ブランドの認知拡大にも貢献。

+16 店舗
数値の信頼性
公式出典あり
予測AI

この事例のポイント

導入効果
+16店舗
業種
飲食業
導入分野
マーケティング

Before

美心集團(マクシムズ・グループ)は1956年創業のアジア最大級の飲食企業で、中華料理、西洋料理、日本料理、東南アジア料理からファストフード、ベーカリー、カフェまで、2,000店舗以上を展開している。スターバックスコーヒー、元気寿司、The Cheesecake Factory、Shake Shackなどの国際ブランドのフランチャイズも運営するほか、香港美心月餅などの季節商品でも知られている。

しかし、同社は2020年代に入り、大きな経営課題に直面していた。まず第一に、顧客の飲食習慣の変化である。パンデミックを経て、香港の消費者は「1日3〜4食」から「1日2〜3食」へと食事の回数を減らし、ブランチの需要が増加する一方で夕食は早めに済ませる傾向が強まった。同社の蕭徳威(シウ・タクワイ)首席営業責任者(香港・マカオ)は「夕方の商業施設は人通りが少なく、小売店が早く閉店するため、飲食店も最長21時までしか営業できない状況が続いている」と語り、飲食ビジネスの回復には観光客とビジネス客の再来が不可欠であると指摘していた。

第二に、グループが展開する70以上のブランドの認知度向上と顧客獲得の課題があった。多様なブランドを抱える一方で、各ブランド間での顧客データの連携が不十分で、ファミリー層向けのブランドと若年層向けのブランド間でのシナジーが生まれにくい状況にあった。

第三に、デジタル化の遅れが競合他社との差別化を阻んでいた。従来の会員制度やクーポン配布はアナログ的な手法に依存しており、特に若年層の顧客獲得において不利な状況が続いていた。

AI導入内容

美心集團はこれらの課題に対し、自社モバイルアプリケーション「Eatizen美心薈(マクシムズ・クラブ)」とWeb3ゲーム「eatie(イーティー)」を組み合わせた独自のデジタルマーケティング戦略を展開した。

第1層:「Eatizen」アプリの機能設計

Eatizenアプリは、単なる予約・決済ツールではなく、顧客エンゲージメントを深めるための総合プラットフォームとして設計された。

クーポン・スタンプカード機能

アプリ内「お得情報」コーナーでは、Top10、中華料理、西洋料理、ファストフードなどカテゴリ別にクーポンを配布。人気キャラクター「クロミ&マイメロディ」とコラボしたケーキの15%OFFクーポンなど、ターゲット層に応じたプロモーションを実施。また、美心ベーカリーの「6個購入で1個無料」スタンプカード機能を搭載し、リピート購入を促進している。

オンライン予約・事前注文システム

中華料理店では、顧客のスマートフォンからの注文率が7割に達するほど普及。一部の飲茶(ヤムチャ)レストランでは、レトロな点心車を残しつつも、デジタル注文とのハイブリッド運営を実現している。

第2層:Web3ゲーム「eatie」との連携

同社は「ゲームは大勢の人が楽しむもの。飲食とゲームを組み合わせて、食事の時間をエンターテイメントに変える」との考えから、Web3技術を活用したスマートフォンゲーム「eatie」を開発した。

ゲームプレイと報酬設計

毎週金曜日には「ハングリー・フライデー」イベントを開催。ゲーム内でIPキャラクター「シェフ・イーティー」を操作して食材を収集し、ケーキを完成させると、ポークチョップライスの無料券や割引クーポンが獲得できる。シンプルなゲーム性でありながら、ベーカリーやファストフード店への来店を促す効果がある。

実体と仮想の融合

Web3技術を活用し、ゲーム内で獲得したアイテムを実店舗での優待と交換できる仕組みを構築。ブロックチェーン技術により、デジタルアセットの真正性と所有権を保証し、顧客の参加意欲を高めている。

第3層:焼肉Likeブランドの展開戦略

同社が日本から導入した「焼肉Like」ブランドは、デジタルマーケティング戦略の成功例として注目されている。

ブランドポジショニング

焼肉を手頃な価格帯で提供し、一人でも無煙ロースターを使用できる新しい飲食スタイルを提案。香港では16店舗を展開し、ラッセル・ストリート(羅素街)店では平日の19時でも行列ができる人気ぶりを見せている。

若年層エンゲージメント

蕭徳威(シウ・タクワイ)首席営業責任者は、11歳の息子と共に焼肉Likeの試食を行い、子供の率直な意見を商品開発に反映させるなど、家族を巻き込んだマーケティング手法も採用。「若者は率直で、美味しいか美味しくないかのどちらか」と語り、ターゲット層のニーズを正確に捉えたブランド展開を行っている。

第4層:データ駆動型マーケティング

アプリの利用データを分析し、顧客の来店パターン、好みのメニュー、クーポン使用状況などを把握。これらのデータに基づき、パーソナライズされたプロモーション情報をプッシュ通知で配信し、顧客の再来店を促進している。

After

デジタル戦略の本格展開により、美心集團は以下の成果を達成した。

顧客基盤の拡大

Eatizenアプリの会員数は数十万規模に到達。特に若年層から中年層まで幅広い層にアプリが浸透し、ゲームとクーポンの組み合わせによるエンゲージメント向上が実現された。

ブランド認知度の向上

「金曜日に美食がないなんてありえないでしょ?」などのキャッチコピーと連動した週次イベントは、顧客の来店習慣の形成に寄与。クロミ&マイメロディとのコラボレーションなど、SNSで話題性の高い企画も成功を収めた。

焼肉Likeの成功

日本から導入した焼肉Likeは、香港で16店舗を展開する人気ブランドに成長。ラッセル・ストリート(羅素街)店のように平日でも行列ができる店舗が出現し、グループ全体の売上貢献度を高めている。タイでも展開を進め、東南アジア市場でのブランド力向上にもつながっている。

デジタル投資の継続的拡大

蕭徳威(シウ・タクワイ)首席営業責任者は「デジタルへの投資は決して少なくない。今日10万と言っても、数年後には1,000万になるかもしれない。投資は増える一方で、終わることはない」と語り、デジタル化への長期的なコミットメントを示している。

OMO(Online Merges with Offline)の実現

Eatizenアプリを通じて、オンラインでのエンゲージメントをオフラインの来店に繋げる仕組みが確立。ゲームで獲得したクーポンを実店舗で利用し、スタンプカードでリピート購入を促す好循環が生まれている。

この取り組みは、伝統的な飲食企業がデジタル技術を活用して顧客体験を革新するモデルケースとして、業界内外から注目を集めている。

公式出典あり この事例の効果数値は、企業のプレスリリースまたは公式発表に基づいています。 出典を確認

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公開日: 2023年10月28日

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