Before
日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)は2020年7月に創業50周年を迎え、全国に約1,170店舗を展開する人気ファストフードチェーンである。主力商品「オリジナルレシピチキン」をはじめ、多彩なキャンペーンや魅力的なコラボレーション施策を展開し、幅広い世代からファンを獲得している。
しかし、SNSマーケティングにおいて課題があった。Twitter、Instagram、Facebookなど複数のSNSで展開していたが、各プラットフォームの反響を横断的に把握できる仕組みがなく、キャンペーンの効果測定が困難だった。新商品発売時やニュースリリース時の発話量や反応を一括でチェックできず、個別に確認する必要があり非効率だった。
さらに、SNS担当チームと商品企画チームが分かれており、他チームとの情報共有のためのレポート作成に多くの時間がかかっていた。実際にレポートをゼロから作成しようとすると少なくとも半日はかかり、他の業務との両立が難しかった。
創業記念パック販売などの大型キャンペーンでは、SNSで約1ヶ月にわたって展開するが、最初は盛り上がっても徐々に発話量が落ちていく傾向があり、キャンペーンだけに依存せずオーガニック投稿で話題を継続させる方法が課題となっていた。
また、異業種ブランドとのコラボレーション施策が増える中で、コラボ相手との相乗効果を客観的に測定する手段も必要だった。KFC発信の反響だけでなく、コラボ相手企業の発信による反響やフォロワー増減を把握できる仕組みが求められていた。
AI導入内容
Social InsightによるSNS分析の導入
KFCはユーザーローカルのソーシャルメディア解析ツール「Social Insight」を導入した。Twitter、Instagram、Facebookはもちろん、ブログやYouTube、ニュースサイトなど、発信した話題がどれくらい取り上げられているかを一括でチェックできるようになった。
- 複数SNS横断分析: Twitterを中心にInstagram、Facebookなど複数プラットフォームの発話量と反応を一括可視化
- クチコミ分析: ブログ、YouTube、ニュースサイトなどSNS以外のメディアへの広がりも検出
- リアルタイムモニタリング: 新商品発売時やキャンペーン期間中の発話量変動を即座に把握
創業記念キャンペーンの分析活用
毎年7月4日の創業日を前に販売される創業記念パックのSNSキャンペーン(約1ヶ月展開)でSocial Insightを活用している。
- 発話量の推移分析: キャンペーン開始から終了までの発話量推移を時系列で可視化
- 施策効果の検証: クーポン配布タイミングや「オリジナルチキンのおいしい食べ方」などのオーガニック投稿の反響を項目別(ツイート数、RT数など)にチェック
- 話題継続のタイミング設計: 発話量が落ちてきたタイミングを検知し、「オリジナルチキンのおすすめレシピ」などのオーガニック投稿で話題を継続
ハッシュタグ・トレンド分析
Instagramのハッシュタグランキング機能を活用し、ユーザーがどういった内容の組み合わせでハッシュタグを使っているかを分析している。
- ハッシュタグランキング: Instagramユーザーが丁寧に載せてくれるハッシュタグの組み合わせから、意図していなかった商品の関連性を発見
- トレンドワード検知: 「ケンタッキー」関連ワードが急増した際に即座に検知し、内容をテキストマイニングで確認(2021年11月のTwitterライフハック Tweet など)
- ネガポジ・属性分析: 投稿コメントの感情分析やユーザー属性分析で深掘り調査
異業種コラボのアカウント分析
ファッションブランドやテックブランドとの異業種コラボレーションで、アカウント分析機能を活用している。
- 相乗効果の測定: KFC発信とコラボ相手企業発信の双方の反響やフォロワー伸び率を比較
- コラボ成果の可視化: コラボレーションによる話題創出効果を客観的に数値化
レポート作成の効率化
Social Insightの自動レポート機能により、必要なグラフやデータをワンクリックでPowerPointにまとめられるようになった。
- 時短効果: 半日かかっていたレポート作成が1時間程度に短縮
- 社内共有の円滑化: 商品企画チームに「こんな反響があった」とすぐに共有でき、チーム間の一体感醸成に貢献
After
レポート作成時間80%削減
Social Insightの自動レポート機能により、レポート作成に要する時間が半日から1時間程度に短縮され、約80%(4/5以上)の時短を実現した。他の業務もしながらレポートを作成できるようになり、作業効率が大幅に向上した。
複数SNS横断での発話量可視化
Twitter、Instagram、Facebookなど複数のSNSを横断して発話量とエンゲージメントを一括でチェックできるようになり、キャンペーンの反響を即座に把握できるようになった。SNSキャンペーンを月にレイヤーで展開する際の効果測定が容易になり、SNS担当チームと商品企画チームの情報共有ツールとしても活用されている。
オーガニック投稿による話題継続
創業記念パックキャンペーンの分析から、発話量が落ちてきたタイミングで「オリジナルチキンのおいしい食べ方」「おすすめレシピ」などのオーガニック投稿を行うことで、キャンペーンだけに依存しない話題の継続に成功した。「何か面白いことが起こっている」「誰かに言いたくなる」ような投稿設計が可能になった。
トレンド急増の即座検知
2021年11月に「Twitterでケンタッキーと呟くと興味のない広告が表示されなくなる」というTwitterライフハックTweetで「ケンタッキー」がトレンドワードに急増した際、テキストマイニングと属性分析で内容を即座に確認し、公式アカウントが迅速に参戦する判断ができた。
異業種コラボの効果測定
ファッションブランドやテックブランドとのコラボレーションにおいて、相手企業発信の反響やフォロワー伸び率も含めた相乗効果を客観的に測定できるようになった。次回のコラボ企画の指標設定にも活用されている。
商品開発へのフィードバック
ハッシュタグランキングから、ユーザーが「このチキンとこのドリンクを一緒に投稿する」といった意図していなかった商品の組み合わせが見え、新しい商品提案の仮説につながることもある。月次定例会での新企画提案にも活用されている。
今後の展開
KFCは「どの世代の方にも『今日、ケンタッキーにしない?』と思っていただけるような、エブリデイブランド」を目指して、TwitterやInstagram以外のソーシャルツールの活用も検討している。YouTubeの動画内容分析機能の開発も待ち望んでおり、KFCを取り上げてくれているアカウントへのクイック対応ができれば、さらに活用幅が広がると考えている。
公開日: 2022年10月1日
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