Before
大阪府大阪市に所在する「かごの屋 清水谷高校前店」は、株式会社KRフードサービスが運営する和食レストランである。同社は「かごの屋」を中心に直営店舗100店舗以上を展開する外食企業だが、清水谷高校前店はスタッフ約60名という中規模店舗である。慶事や弔事で利用されることが多く、常連のお客様が多いのが特徴で、売上の3割ほどを常連様に支えていただいている。鍋料理や会席料理が人気で、法事や法要の後の会食、卒業式や入学式の家族のお祝い事など、節目の食事に選ばれることが多い。
同店の顧客の中心は50代から70代の層であり、ネット予約を積極的に利用する層ではないため、電話予約の数が多く、対応方法が課題となっていた。特にランチやディナーのピーク時に、「今、空いていますか?」「何分後ぐらいに入れますか?」「個室はありますか?」といった電話がよくかかってきていた。そのたびにスタッフが電話対応にあたっていたが、対応中にお客様が来店された場合、お待たせしてしまうことが頻繁に発生していた。1件の電話対応に最低でも3分はかかるため、ピーク時に数件連続で電話が鳴ると、ホール全体のサービスが滞る。
また、配膳やお会計、バッシングなど、1組1組のお客様へのサービスは多岐に渡るが、電話が鳴るとその都度手を止める必要があり、結果として各サービスの提供効率や質に影響が出てしまうこともあった。さらに、グルメサイト経由の予約が増える中で、送客手数料や掲載費用の最適化も課題となっていた。自社アプリやホームページからの予約導線が弱く、グルメサイトへの依存度が高くなりがちで、コスト削減と予約数の最大化を両立させたいというニーズがあった。グルメサイト経由の予約には一組あたり数百円の送客手数料がかかり、月に数百組規模で予約が入る中規模店では、月数十万円のコスト負担になっていた。特に慶事や弔事で利用される個室予約は電話での詳細な打ち合わせが必要なケースが多く、スタッフの負担が大きかった。
AI導入内容
ebicaの導入
ネットによる直前予約を受け付けることでお客様の利便性を高めたいと考え、レストラン向け予約管理システム 「ebica」 を導入した。自社アプリやホームページ、Google予約など複数の導線から入る予約を一元管理し、各導線に掲出する空席情報を常に最新にできる。これにより、電話件数自体が減り、ネット予約の割合が増加した。
ebicaへのウォークイン情報の登録は数秒で完了するようになり、予約なしで来店されるお客様の情報もリアルタイムに反映。これにより、ダブルブッキングの心配をせずに直前のネット予約も受け付けられるようになった。グルメサイトコントローラー機能により、全てのグルメサイト経由の予約をebicaに自動で取り込み、店舗の最新在庫情報が各サイトに反映されるため、スタッフの手動調整が不要になった。
AIレセプション「さゆり」の導入
ネット予約に不慣れな50〜70代のお客様からの電話問い合わせに対し、AIスタッフ 「さゆり」 が自動で応対する「AIレセプション」を導入した。「今、空いていますか?」といった電話問合せに対し、自然な音声で応対し、空席状況の確認から予約登録までを自動で行う。希望の時間帯が埋まっている場合は、別の時間をサジェストする機能も高く評価されている。お店の忙しい時間帯の一次対応として活用することで、大幅な負担軽減につながった。
AIレセプションで予約が取れた場合は、ebicaに自動で反映されるため、スタッフの手入力ミスも防止できる。要望のある方は店舗へ転送されるが、その際もAIが聞き取った基本情報が入録された状態で引き継がれるため、非常にスムーズだ。
After
ebicaとAIレセプション導入により、かごの屋 清水谷高校前店は以下の成果を達成した。
電話対応月8時間削減
ネット予約やAIレセプションを活用できている店舗とそうでない店舗を比較すると、活用できている店舗は月に8時間ほど電話対応の時間が削減できている。これは数分の業務の積み上げではあるが、実施中だった業務が電話対応によって中断されることがなくなったメリットを考えると、非常に価値がある。スタッフは目の前のお客様へのサービスに集中でき、接客の質が向上した。
売上10%向上
「AIレセプション」導入店舗は、未導入店舗と比べて予約が受け付けられた件数自体も多く、両店には10%ほどの売上の違いが出ている。2023年10月の実績では、AIレセプションが受け付けた予約は全61店舗で2,900件あり、その予約を売上に換算すると約3,000万円にあたる。これまで通話中などで取りこぼしていた電話も、AIが応対することで機会損失がゼロになった。50〜70代のお客様からも「AIの声が自然で驚いた」「予約がスムーズになった」と好評だ。
集客コスト月200万円削減
自社アプリや自社ホームページからの予約導線を確立したことで、月間で200万円近い集客コスト(送客手数料)の削減に成功した。グルメサイトの掲載プランを安価なプランに切り替え、自社予約を促進することで、送客手数料だけでなく掲載費用自体も抑えることができた。コスト最適化と予約数の最大化を両立させた。
おもてなし品質の向上
電話対応の負担が減ったことで、スタッフは「慶事や弔事などのため個室を予約したい」といった大切なご要望にしっかり応えることができるようになった。お出迎えからお見送りまで丁寧に行うことで、50〜70代の常連客からの満足度が向上し、「また利用したい」という気持ちに繋がっている。常連客からは「電話ですぐ繋がるようになったね」との声も寄せられ、店舗の信頼度も向上した。
全店展開への動き
橋本店長は「ebicaとAIレセプションのおかげで、お客様へのおもてなしに集中できる環境が整った」と語る。KRフードサービスでは、店長会議でebicaの活用促進を共有しており、現在その効果を全店に広げられるように取り組んでいる。今後もテクノロジーと人の温かさが融合した接客を追求し、和食レストランの新しいサービスモデルを構築していく。
公開日: 2024年1月26日
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