Before
北海道札幌市中央区南13条西10丁目2-25に所在する「回転寿し まつりや 山鼻店」は、有限会社ときわが運営する回転寿司店である。有限会社ときわは1994年創業、正社員57名(パート・アルバイト含めると410名)の中規模飲食企業で、北海道内に「まつりや」や「羽衣亭」など計10店舗を展開している。山鼻店は札幌市の山鼻エリアに位置し、地元のファミリー層や学生、観光客に愛される店舗である。有限会社ときわの経営理念は「食を通じて人々の大切な幸せの一つである『旨い』という感動を真剣に追求し、驚きと感動をお客様に」であり、道産食材に強いパイプを持ち、可能な限り店内調理で鮮度と味を追求している。独創的な創作寿司も豊富で、お祭りの囃子をBGMにした活気ある店内が特徴だ。
しかし、人手不足のためにスタッフが配膳や会計といったお客様対応に追われ、テーブルリセットの時間が取れず、席の回転率向上を課題に感じていた。特にランチタイムや週末のディナーでは、厨房スタッフもホールに出て配膳を手伝う必要があり、キッチン業務が滞る悪循環が起きていた。これにより、テーブルが空いているのに次の客を案内できない機会損失が発生し、売上向上の足かせとなっていた。観光シーズンには北海道外からの観光客も多く、席回転率が上がらないことは大きな機会損失につながっていた。
また、残業が常態化しており、スタッフの負担軽減も喫緊の課題であった。厨房スタッフがホール業務に駆り出されることで、キッチン内の仕事が後回しになり、閉店後の片付けや清掃に時間がかかり、人件費の圧迫も深刻化していた。さらに、回転寿司のレーン管理や皿の補充も滞りがちで、お客様が「お気に入りのネタが回ってこない」と不満を持つこともあった。店長は「人手不足で配膳と調理の両立が難しく、スタッフ一人ひとりの負担が大きくなっていた」と振り返る。
AI導入内容
KEENON T8の導入
店舗の通路幅に合わせ、小回りの効く小型配膳ロボット 「KEENON T8(キーノン ティーエイト)」 を導入した。T8は通路が60cm未満でもスムーズに走行できるコンパクト設計で、回転寿司店の比較的狭い店内でも違和感なく動ける。BellaBotなどの大型ロボットでは通路が狭くて動きにくい箇所も、T8ならすり抜けられる。DFA Roboticsは、ロボットの通行順路や導線確保の提案から設置までを支援した。導入当初はスタッフも戸惑っていたが、1週間もすれば誰でも簡単に操作できるようになり、年配のスタッフも抵抗なく使いこなせるようになった。
オペレーションの見直し
導入後、厨房からホールまでの料理運搬をロボットに任せるオペレーションを構築。これまで料理提供のためにホールに出ていた厨房スタッフはキッチン業務に専念できるようになり、ホールスタッフはテーブルリセットに早く取り掛かることができるようになった。配膳の約9割をロボットが担当する体制となり、スタッフはお客様への接客に注力できるようになった。
時間が創出されたことで、これまで残業の原因にもなっていた仕込みや片付け、清掃に早く取り掛かれるようにもなった。ロボットが配膳を担うことで、スタッフの業務分担が明確になり、厨房とホールの連携もスムーズになった。特にランチタイムのピーク時には、厨房スタッフが調理に集中できることで、寿司のネタ切れが減少し、メニューの品揃えが安定した。
After
KEENON T8導入により、回転寿し まつりや 山鼻店は以下の成果を達成した。
人件費1割削減
残業時間が減ったことで、人件費が1割程度削減された。以前は厨房スタッフがホール業務に駆り出されることで、キッチン内の仕事が後回しになり、閉店後の片付けや清掃に時間がかかり、残業が発生していた。ロボット導入後は、厨房スタッフが調理に集中できるようになり、業務が定時内に完了するようになった。アルバイトからは「定時で帰れるようになって嬉しい」という声が上がり、職場の定着率向上にも寄与している。
1名少ない人数での運営が可能に
配膳ロボットが業務を担うことで、以前よりも1名少ない人数でも店舗運営が可能となった。スタッフ一人一人の業務負荷が解消され、限られた人員でもスムーズに回せる体制が整った。特にアルバイトの急な欠勤が出た際にも、ロボットが配膳をカバーすることで他のスタッフへの負担が増大しにくくなった。
席回転率の向上
テーブルリセットの時間が短縮されたことで、席の回転率が向上した。以前は配膳や会計に追われてテーブルが空いた後の片付けが遅れ、次の客を待たせることが多かったが、今ではスムーズに案内できるようになった。これにより、ランチタイムや週末のピーク時にもより多くの客を受け入れられるようになり、売上向上に寄与している。お客様からも「待ち時間が短くなった」と好評で、リピート率も上昇傾向にある。
スタッフ満足度の向上
厨房スタッフは「キッチンに集中できるようになった」と喜び、ホールスタッフも「配膳の往復が減って接客に時間が割ける」と評価している。ロボットの導入により、スタッフ同士の業務分担が明確になり、職場の雰囲気も改善された。アルバイトからは「残業が減って嬉しい」「ロボットがいて働きやすい」という声も上がっている。
衛生面・安全面の向上
配膳ロボットの導入により、スタッフが料理を手で運ぶ機会が減り、衛生面でのメリットも生まれた。特にコロナ禍以降、非接触サービスへの期待が高まる中、ロボットによる配膳はお客様の安心感にも繋がっている。T8のセンサーは人や障害物を正確に検知し、衝突事故のリスクも極めて低い。
他店舗展開への展望
有限会社ときわは、今後も他店舗への展開を検討しており、中規模回転寿司店のDX推進のモデルケースとして、山鼻店の取り組みを社内で共有している。特に札幌地区や十勝地区の店舗でも、同様の人手不足が課題となっており、KEENON T8の導入検討が進められている。ロボットと人の協働により、地元の食文化を支える回転寿司店として進化を続ける。
公開日: 2023年3月1日
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