ローソン:AI発注システム「AI.CO」で食品ロス削減、全14,000店に展開

全国14,000店舗でAI発注システム「AI.CO」を展開し、需要予測精度を向上。発注誤差を30%改善し、食品ロス削減を実現。

+30 %発注誤差改善
数値の信頼性
公式出典あり
画像AI

この事例のポイント

導入効果
+30%発注誤差改善
業種
飲食業
導入分野
物流

Before

ローソンは全国約14,000店舗を展開する日本を代表するコンビニエンスストアチェーンである。コンビニエンスストア業界において、おにぎり、弁当、サンドイッチなどの日配品は売上の重要な柱となっているが、同時に最も管理が困難な商品カテゴリーでもある。これらの商品は消費期限が短く、売れ残った商品はそのまま食品ロスに直結するという構造的な課題を抱えており、小売業界全体にとって長年の懸案事項となっていた。

2024年度の実績データによると、ローソンでは1店舗1日あたりの廃棄物が42.4kgに達し、そのうち売れ残り食品が8.2kgを占めていた。この数字を全店舗規模で換算すると、年間で膨大な量の食品ロスが発生していることになる。経済的な損失だけでなく、食料資源の無駄使いという環境問題、さらには廃棄コストや処理負担が店舗運営スタッフにかかるという運営上の課題も深刻化していた。

従来の発注業務は、各店舗の担当者が過去の販売実績データ、天候予報、周辺地域でのイベント開催情報、曜日や時期による消費パターンなどを総合的に考慮しながら、主に経験と勘に依存して行われていた。熟練したスタッフであれば一定の精度を保てるものの、新人スタッフや経験の浅い担当者の場合、需要予測の精度にばらつきが生じやすく、結果として過剰在庫による食品ロスと欠品による販売機会ロスの両方が頻繁に発生していた。特に、天候の急変やイベントの急な変更など、予期しない要因による需要変動への対応が困難であった。

社会全体で食品ロス削減への関心が急速に高まる中、ローソンは企業の社会的責任として、SDGs目標12「つくる責任つかう責任」 に基づいた具体的な行動計画を策定した。2025年には2018年対比25%削減、2030年には50%削減という野心的な数値目標を設定し、従来の改善手法では限界があることを認識し、抜本的な解決策の導入が急務となっていた。

AI導入内容

AI発注システム「AI.CO」の開発体制

ローソンは食品ロス削減という課題解決のため、米国の機械学習プラットフォーム大手であるDataRobot社との戦略的パートナーシップを締結し、次世代発注システム「AI.CO(AI Customized Order:アイコ)」の共同開発に着手した。このプロジェクトは、単なるシステム導入ではなく、コンビニエンスストア業界におけるAI活用のパイオニア的取り組みとして位置づけられた。開発期間中は、ローソンの店舗運営ノウハウとDataRobot社の機械学習技術を融合させ、実際の店舗環境で検証を重ねながらシステムの精度向上を図った。

多次元データ分析による需要予測アルゴリズム

AI.COの核心技術は、各店舗固有の多様なデータソースを統合的に分析し、商品別・時間帯別の需要を高精度で予測する機械学習アルゴリズムである。システムが処理するデータには、天候データ(気温、湿度、降水量、風速等)、過去の販売実績、店舗立地情報(住宅地・オフィス街・駅前等の分類)、周辺人口動態、客層分析結果、季節性要因、地域イベント情報など、従来の人間による判断では処理しきれない膨大な変数が含まれる。これらのデータは、リアルタイムで更新され続ける動的なデータベースとして管理されている。

機械学習モデルは、時系列予測、回帰分析、クラスタリングなど複数の手法を組み合わせたアンサンブル学習を採用している。これにより、単一のアルゴリズムでは捉えきれない複雑な需要パターンも精緻に予測できるようになった。さらに、予測結果の精度を継続的に監視し、実際の売上実績との差異を分析してモデルの自動調整を行う機能も実装されている。

包括的発注支援機能の実装

従来のセミオート発注システムが提供していた品揃え推奨と日々の発注数量推奨機能を大幅に強化し、新たに値引きタイミングの最適化推奨機能を追加した。この機能は、各商品の消費期限と予想される販売ペースを分析し、食品ロスを最小化しつつ売上も確保できる最適な値引き開始時刻を算出する。店舗スタッフは、システムが推奨するタイミングで値引きシールを貼ることで、従来よりも効率的な在庫処理が可能となった。

全店舗展開とシステム運用

2020年11月末から本格運用を開始したAI.COは、段階的な導入プロセスを経て、2024年7月末までに全14,000店舗への展開を完了した。導入過程では、各地域の特性に応じたシステムのカスタマイズや、店舗スタッフ向けの操作研修も並行して実施された。また、食品ロス削減プログラム「FOOD GOOD SMILE」との連動により、値引きシール商品の購入を顧客に積極的に推奨する店頭施策も展開している。このような技術的解決策と消費者行動変容を組み合わせた多面的アプローチにより、総合的な食品ロス削減戦略を実現している。

After

AI.COの本格運用により、AI予測と実際の発注数量の誤差が従来手法比で約30%改善したことが日本経済新聞によって報道され、業界内外から大きな注目を集めた。この30%という数値改善は、単なる効率化にとどまらず、過剰在庫による食品ロスの大幅削減と、欠品による販売機会ロスの同時解決を意味している。全14,000店舗でAI.COが稼働することにより、チェーン全体での効果は極めて大きく、年間を通じて安定した成果を上げ続けている。

定量的な成果に加えて、店舗運営面でも大きな変化が生まれている。従来は発注業務に多くの時間と労力を要していた店舗スタッフが、AI.COによる精度の高い推奨値を活用することで、より顧客サービスに集中できるようになった。また、新人スタッフでも経験豊富な担当者と同等レベルの発注精度を実現できるため、人材育成の効率化や店舗運営の標準化にも大きく貢献している。

ローソンは今後もさらなる食品ロス削減を目指しており、2030年に食品ロス2018年対比50%削減、2050年には100%削減という極めて野心的な長期目標を設定している。AI.COの継続的な機能拡張と精度向上、さらには新たなAI技術の導入により、この目標の実現を目指している。また、東京都の食品ロス削減取組事例としても公式に紹介されるなど、自治体や他の企業からも参考事例として注目を集める先進的な取り組みとして認識されている。このような成果は、コンビニエンスストア業界全体にとってのベンチマークとなり、業界全体の持続可能な経営への転換と食品ロス削減に向けた機運醸成にも大きく寄与している。

公式出典あり この事例の効果数値は、企業のプレスリリースまたは公式発表に基づいています。 出典を確認

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公開日: 2023年1月1日

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