Before
松江土建株式会社は、公共土木工事(港湾・河川工事)、公共施設の改修工事、解体工事などを手がける地域密着型の建設会社である。島根県を拠点として、地域に役立つ豊かな街づくりを目指し、豊富な経験をもとに幅広く業務を行ってきた。
同社は国土交通省中国地方整備局の「中国ICTサポート企業・団体」に登録されており、ICTを活用した工事の普及推進や内製化の技術支援も行っている。自社でもCIM(Construction Information Modeling)を活用した「CIM-U-CYCLE」という独自の取り組みを展開し、施工管理のDXを推進している。
しかし、工程表作成については、依然として熟練技術者の経験に依存する部分が大きく、効率化が課題となっていた。特に、複雑な土木構造物の工事では、設計図書を読み解き、適切な施工工序を立てる作業に多くの時間を要していた。また、蓄積された過去の工事データを活用した知見の継承も、属人的な部分が多く残っていた。
AI導入内容
松江土建は株式会社KENCOPAが提供する「Kencopa工程AIエージェント」β版を導入した。同社はすでにICTやCIMの活用に取り組んでおり、AIエージェントの導入により、工程計画という上流の業務もデジタル化することで、現場業務全体の効率化を目指している。
導入のポイント
ICT・CIMとの連携
松江土建はすでにCIM-U-CYCLEという独自のフレームワークで、施工(管理)CIM-MR、工程管理CIM4D、安全管理CIM・UAVなど、ICT技術を現場業務の各段階で活用している。Kencopa工程AIエージェントは、この既存のICT・CIM基盤と連携し、工程計画段階からデータを整備することで、後続の施工管理業務とのシームレスな連携を実現する。
設計図書の自動解析
設計図書(図面・仕様書・見積調書)をAIが読み取り、施工項目の抽出から工期の推定、工序の最適配置までを自動的に行う。これにより、技術者は工程表作成の下地作業から解放され、より高度な判断や最適化に注力できるようになる。
データの継続的蓄積
AIエージェントを活用することで、設計・工程データが自動的に蓄積されていく。これらのデータは将来の類似工事の計画に活用され、精度の高い工程案生成につながる。同社の豊富な施工実績の知見が、データとして継承・活用される仕組みを構築する。
技術的構成
Kencopa工程AIエージェントは、LangGraphを基盤とした高度な推論エンジンを備え、松江土建の既存ICT基盤との深い親和性を持つ。
外部ツール連携(Tool Use / Function Calling) AIエージェントが単にテキストを生成するだけでなく、APIを通じて外部の工程管理ソフトやCIMツールを操作する「Tool Use」機能を実装。AIが生成した工程データを、シームレスにCIMモデルの属性情報として書き込むことが可能。
CIM4D(時間軸)との高度な同期 LangGraphによる「計画→検証」ループにおいて、3次元モデルと時間軸を統合したCIM4Dデータを参照。AIが工序ごとの空間的干渉や重機の旋回範囲を「視覚的」に制約条件として解釈し、無理のない施工順序を提案するロジックの構築を目指している。
自社固有ノウハウの知識ベース化 「CIM-U-CYCLE」で蓄積された3次元計測データやUAV点検結果、過去のCIM活用事例をRAGの知識ソースとして統合。これにより、地域特有の地形(港湾・河川等)に最適化された、松江土建ならではの「高精度な工程計画」を自動生成する。
After
「Kencopa工程AIエージェント」β版の導入により、松江土建は以下の効果を期待している。
工程表作成業務の大幅な効率化
設計図書をアップロードするだけでAIが工程案を生成することで、従来よりも大幅に短縮された時間で工程計画を立案できるようになる。技術者は作成作業そのものではなく、AIが生成した案の確認や、より高度な最適化に注力できるようになる。
ICTサポート企業としての強化
中国ICTサポート企業として、3次元測量、3次元設計データ作成、ICT建設機械による施工、3次元施工監理などの技術支援を行っている松江土建だが、工程計画のAI化により、さらに幅広い技術支援が可能になる。お客様の施工計画書作成から測量、施工、管理、納品の一連の流れにおいて、AIを活用した効率的なアプローチを提案できるようになる。
知見の継承と品質向上
豊富な施工実績で培われたノウハウがAIを通じてデータ化され、組織全体で活用できる知見となる。これにより、担当者の経験差による品質のばらつきを抑え、どの技術者が担当しても一定の品質水準を確保できるようになる。
松江土建は、Kencopa工程AIエージェントの導入を通じて、地域に役立つ豊かな街づくりをさらに効率的に実現し、建設業界のDX推進に貢献していく考えである。
公開日: 2025年12月10日
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